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変形性膝関節症の合併症と治療選択肢|人工関節手術の前に知っておきたいこと

膝の再生医療

目次

変形性膝関節症の合併症とは?放置するリスクと治療選択肢をわかりやすく解説

膝の痛みが続いているものの、

  • 「年齢のせいだから仕方ない」
  • 「まだ歩けるから病院に行くほどではない」
  • 「手術は怖いので、できるだけ先延ばしにしたい」と考えていませんか。

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる病気です。

初期は「歩き始めだけ痛い」「階段で少し違和感がある」といった程度なのですが、進行すると歩行障害、筋力低下、転倒、腰痛、反対側の膝への負担など、さまざまな問題につながりかねません。

さらに、症状が進み「人工関節手術」を受けることになると、「感染症や血栓症」、「人工関節のゆるみ」といった手術に伴う「合併症」について理解しておく必要があります。

- 合併症とは、もともとある病気がきっかけとなって、別の病気や症状が起こることをいいます。

たとえば、膝の病気が原因で歩く量が減り、筋力が低下したり、腰や反対側の膝に痛みが出たりする場合も、広い意味では合併症として考えられます。また、手術や検査のあとに起こる感染症や出血、血栓症などの健康上のトラブルも「合併症」です。

そこで、この記事では、変形性膝関節症で起こりうる合併症について、放置するリスク、人工関節手術の注意点、そして手術以外の選択肢として注目される「再生医療」について、わかりやすく解説します。

この記事を読んで分かること

  • ☑ 変形性膝関節症で起こりやすい合併症
  • ☑ 膝の痛みを放置すると生活にどんな影響が出るか
  • ☑ 人工関節手術に伴う代表的な合併症
  • ☑ 合併症を防ぐためにできる予防策
  • ☑ 手術以外の選択肢としての再生医療の考え方

 

変形性膝関節症の合併症とは?

変形性膝関節症の合併症には、膝そのものの悪化だけでなく、歩行障害、筋力低下、転倒、腰痛、反対側の膝や股関節への負担、さらに手術に伴う合併症も含まれます。

「合併症」と聞くと、手術後に起こるトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれませんね。しかし、変形性膝関節症の場合は、病気を放置することで起こる二次的な問題も合併症として考えることができるのです。

変形性膝関節症は、単に「膝が痛い病気」ではありません。膝が痛むことで歩く量が減り、筋力が落ち、体重が増え、さらに膝への負担が増えるという悪循環が起こりやすい病気です。

日本整形外科学会は、膝の変形性関節症について、軟骨がすり減ることで骨同士の隙間が狭くなり、骨同士がこすれて痛みや骨棘が生じると説明しています。つまり、進行すると関節の構造そのものが変わっていく病気です。

変形性膝関節症で考えられる主な合併症

分類 主な合併症・問題 内容
膝関節の問題 可動域制限 膝が曲がりにくい、伸びにくい
歩行の問題 歩行障害 長く歩けない、階段がつらい
筋肉の問題 筋力低下 太ももの筋肉が落ち、膝が不安定になる
姿勢の問題 腰痛・股関節痛 膝をかばうことで他の部位に負担がかかる
転倒リスク 骨折・寝たきりリスク ふらつきや痛みで転びやすくなる
心身の問題 外出減少・気分の落ち込み 活動量が減り、生活の質が下がる
手術関連 感染症・血栓症など 人工関節手術に伴う様々なリスク

特に高齢の方では、膝の痛みがきっかけで活動量が減り、全身の筋力や体力が落ちることがあります。これが将来的な介護リスクにつながる場合もあります。

 

変形性膝関節症を放置するとどうなる?

変形性膝関節症を放置すると、膝の痛みや変形が進行するだけでなく、歩行能力の低下や生活の質の低下につながる可能性があります。

変形性膝関節症は、急に悪化するというよりも、時間をかけて少しずつ進行する進行性の病気です。最初は「歩き始めだけ痛い」「階段を下りるときに違和感がある」程度なのですが、進行すると、日常生活のあらゆる場面で支障が出てはじめます。

変形性関節症は痛みが時間とともに徐々に悪化し、朝や安静後に痛みやこわばりを感じるようになります。

進行によって起こりやすい変化

進行段階 主な症状 生活への影響
初期 歩き始めの痛み、軽い違和感 まだ日常生活は可能
中期 階段痛、正座困難、膝の腫れ 外出や家事がつらくなる
進行期 O脚・X脚の進行、強い痛み 長く歩けない、杖が必要になる
末期 安静時痛、可動域制限 手術が検討されることがある

膝の痛みを我慢していると、無意識に痛い側をかばう歩き方になります。すると、反対側の膝、股関節、腰にも負担がかかります。つまり、変形性膝関節症は「膝だけの問題」ではなく、全身の動きや生活全体に影響する病気なのです。

 

合併症1:歩行障害・外出困難

変形性膝関節症が進行すると、歩ける距離が短くなり、外出や買い物、旅行など日常生活の自由度が下がるなどの支障が出ます。

人間の生活において膝は、立つ・歩く・階段を上る・しゃがむといった動作に欠かせない関節ですが、その膝に痛みや変形があると、それらの動作が痛痛となり、自然と歩く量が減ってしまいます。

具体的は、次のような変化が起こります。

  • ・以前より歩くスピードが遅くなる
  • ・長時間歩くと膝が重くなる
  • ・階段の上り下りを避けるようになる
  • ・買い物の回数が減る
  • ・旅行や外出の予定をあきらめる
  • ・杖や手すりがないと不安になる

歩かなくなると、筋肉は少しずつ落ちていきます。筋肉が落ちると膝を支える力が弱くなり、さらに痛みが出やすくなります。

歩行障害が起こす悪循環

流れ 起こること
膝が痛い 歩く量が減る
歩く量が減る 太ももの筋肉が落ちる
筋肉が落ちる 膝が不安定になる
膝が不安定になる さらに痛みや不安が増える
痛みが増える 外出が減る

この悪循環を断ち切るには、痛みを我慢し続けるのではなく、早めに治療やリハビリを始めることが大切です。

 

合併症2:筋力低下とフレイル

膝が痛むことが原因で動かなくなると、筋力が落ちることでフレイルにつながる可能性があります。フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態の中間のような段階を言います。

変形性膝関節症では、膝そのものの痛みだけでなく、太ももの筋肉、とくに大腿四頭筋という筋肉の低下が問題になります。大腿四頭筋は、膝を伸ばすときに働く身体の中でも大きな筋肉です。

この筋肉が弱くなると、膝がぐらつきやすくなります。すると、階段や立ち上がりがつらくなり、さらに動く量が減ってしまいます。

NICEの変形性関節症ガイドラインでは、運動療法(リハビリ)や体重管理、患者への情報提供が重要な管理方法として示されています。これは、膝の痛みを薬で抑えるのではなく、「動ける体を保つことが大切」だからです。

起こること 具体的な影響
立ち上がりがつらい 椅子やトイレから立つのに時間がかかる
階段がつらい 特に下りで痛みや不安が強い
膝が不安定 転びそうになる
歩幅が狭くなる 歩く速度が遅くなる
疲れやすい 外出を避けるようになる

変形性膝関節症の治療は、痛みを減らすことだけでなく、動けることが大切です。動けなくなると生活の質が大きく下がってしまうからです。そのためには筋肉の強さを維持することがとても重要といえるのです。

 

合併症3:転倒・骨折リスクの増加

変形性膝関節症が進行すると、膝の痛みや筋力低下によって転倒しやすくなり、骨折や寝たきりにつながるリスクがあります。

膝が痛いと、足をしっかり前に出しにくくなります。また、膝が伸びきらない、曲がりにくいといった可動域制限があると、段差や階段でつまずきやすくなります。

高齢の方では、転倒によって大腿骨の骨折や手首の骨折を起こすことがあります。骨折をきっかけに長期間の入院や活動量低下が起こると、筋力がさらに落ちてしまうこともあります。

転倒を防ぐために見直したい生活環境

場所 注意点 対策
玄関 段差でつまずく 手すり、踏み台を設置
廊下 物につまずく 床に物を置かない
浴室 滑りやすい 滑り止めマットを使用
トイレ 立ち座りが不安定 手すりを設置
階段 下りで膝が痛い 手すりを使う、無理に急がない

膝の治療と同時に、住環境を整えることも大切な合併症予防です。

 

合併症4:腰痛・股関節痛・反対側の膝の痛み

変形性膝関節症では、痛い膝をかばうことで腰・股関節・反対側の膝にも負担がかかり、別の痛みを引き起こすことがあります。

人の体は、ひとつの関節だけで動いているわけではありません。膝をかばう歩き方になると、骨盤の傾きや背骨の動き、足首の使い方まで変わることになります。

その結果、次のような痛みが出ることがあります。

  • ・腰痛
  • ・股関節痛
  • ・反対側の膝の痛み
  • ・足首の違和感
  • ・肩こりや背中の張り

たとえば、右膝が痛い人は、無意識に左足へ体重を多くかけることがあります。すると、今度は左膝や左股関節に負担がかかってしまうという悪い循環が起ることになります。

膝をかばうことで起こる負担

かばい方 負担がかかる場所
痛い側に体重をかけない 反対側の膝
体を傾けて歩く 腰・股関節
歩幅が小さくなる 太もも・ふくらはぎ
階段を片足中心で上る 反対側の脚

膝の痛みを「片膝だけの問題」と考えず、体全体のバランスとして見ること大切になります。

 

合併症5:関節の変形・可動域制限

変形性膝関節症が進行すると、O脚やX脚が目立つようになり、膝を曲げ伸ばししにくくなります。

軟骨がすり減ると、関節の隙間が狭くなります。特に日本人では、膝の内側の軟骨がすり減り、O脚が進むケースが多く見られます。膝が変形すると、荷重がさらに内側に集中し、軟骨のすり減りが進みやすくなります。これも悪循環です。

変形や可動域制限で困りやすい動作

動作 困りごと
正座 膝が曲がらない、痛い
しゃがむ 立ち上がれない
階段 特に下りがつらい
和式トイレ 使用が難しい
低い椅子 立ち上がりにくい
車の乗り降り 膝を曲げると痛い

可動域制限が進むと、日常生活の選択肢が狭まってしまいます。「和式の生活」から、洋式トイレや、椅子中心、「洋式の生活」に変えることで楽になる場合もありますが、根本的な膝の治療は必要です。

 

合併症6:体重増加・生活習慣病の悪化

膝の痛みで活動量が減ると、体重が増えやすくなり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病にも影響する可能性があります。

膝が痛いと、どうしても動く量が減ります。すると消費エネルギーが減り、体重が増えやすくなります。体重が増えると膝への負担が増え、さらに痛みが強くなることがあります。

変形性膝関節症では、次のような「悪循環」が起こりやすくなります。

悪循環 内容
膝が痛い 動くのがつらい
活動量が減る 消費カロリーが減る
体重が増える 膝への負担が増える
膝の痛みが増える さらに動けなくなる

日本整形外科学会の変形性膝関節症診療ガイドライン2023では、変形性膝関節症に対する運動療法や体重減少の有用性が示されています。体重管理は、膝への負担を減らすうえで重要な要素です。

ただし、膝への負担を減らすための体重制限について、極端な食事制限はおすすめできません。それで筋肉まで落ちてしまうと、膝を支える力まで弱くなってしまい逆効果です。適度な管理が大切です。

 

合併症7:睡眠障害・気分の落ち込み

膝の痛みが長引くと、睡眠の質が下がったり、外出が減ったりして、気持ちの面にも影響することがあります。

痛みが続くと、夜に寝返りを打つたびに膝が痛むことがあります。また、日常生活でも歩くことが苦になり、「また痛くなるかもしれない」との不安から、外出や運動を避けるようになってしまいかねません。

そうなると、外出が億劫になることで、結果として人と会う機会が減り、気分も落ち込みやすくなったしまいかねません。

心身に出やすい影響

影響 具体例
睡眠の質低下 痛みで夜中に目が覚める
外出減少 人と会う機会が減る
不安感 歩けなくなるのではと心配になる
意欲低下 趣味や旅行をあきらめる
孤立感 家にこもりがちになる

膝の痛みは、単なる体の問題だけではありません。生活の楽しみや気持ちにも関わる心も問題にもなり得るものです。だからこそ、早めに医療機関にご相談いただき、適切な治療を始めることが大切です。

変形性ひざ関節症は、進行する病です。「まだ大丈夫」との思いのままでは、重症化しかねません。膝の違和感、痛みは早めに整形外科を受診していただくようお勧めします。

 

変形性膝関節症の治療で考えられる合併症

変形性膝関節症の治療では、薬・注射・手術など、それぞれについて注意点があります。治療のメリットだけでなく、リスクもあるため、信頼できる医療機関にご相談さえれながら選びましょう。

治療には段階があります。いきなり手術になるわけではなく、多くの場合は保存療法から始まります。変形性膝関節症はこれまでの治療で完治させることは難しく、治療は、進行を遅らせる、少しでも今の状況を保てるようにするものです。

何もしなければ進行を遅らせることはできません。

主な治療法と注意点

治療法 内容 注意点
運動療法 筋力強化、ストレッチ 自己流で無理をすると痛みが悪化することがある
薬物療法 痛み止め、湿布など 胃腸障害、腎機能への影響などに注意
注射治療 ヒアルロン酸注射など 効果には個人差がある
装具療法 サポーター、足底板 合わないと痛みが出ることがある
手術療法 骨切り術、人工関節など 感染・血栓・出血などのリスクがある
再生医療 PRP、幹細胞治療など 適応や効果には個人差がある

NICEのガイドラインでは、変形性関節症の管理は生活指導、運動、体重管理を中心に考え、必要に応じて薬物療法などを組み合わせる流れが示されています。

どの治療が「一番よいのか」ではなく、医師の指導の下、膝の状態、年齢、生活スタイル、仕事、希望によって選択することになります。

 

人工関節手術に伴う代表的な合併症

人工関節手術は痛みの改善が期待できる治療ですが、「感染症」、「血栓症」、「出血」、「人工関節のゆるみ」、「再置換(再手術)」などといった合併症のリスクがあります

変形性膝関節症が進行し、保存療法での改善が難しくなってくると、最終的に人工膝関節置換術を勧められることになります。人工関節手術は、強い痛みを改善し、歩行能力を取り戻すための有効な治療です。

一方で、外科手術である以上、合併症の可能性はゼロではありません。たとえば、感染症、深部静脈血栓症・肺塞栓症、出血、人工関節のゆるみや摩耗などが代表的な合併症として挙げられます。

人工関節手術の主な合併症

合併症 内容 注意点
感染症 細菌が人工関節周囲に入る 再手術が必要になることがある
深部静脈血栓症 足の静脈に血のかたまりができる 肺塞栓症につながることがある
肺塞栓症 血栓が肺の血管に詰まる 命に関わる場合がある
出血・輸血 手術中や術後に出血する 貧血や輸血リスクがある
人工関節のゆるみ 人工関節が骨と安定しなくなる 再手術が必要になることがある
摩耗 人工関節の部品がすり減る(寿命) 長期的に再手術の可能性がある
骨折 転倒などで人工関節周囲が折れる 高齢者では特に注意
神経・血管損傷 しびれや血流障害が起こる まれだが注意が必要

日本整形外科学会のガイドラインでは、変形性膝関節症に対するリハビリテーションは有用と考えられており、術前・術後のリハビリの重要性が示されています。

 

感染症は、人工関節手術で特に注意したい怖い合併症

人工関節手術後の感染症は、一度起こると治療が長引き、再手術が必要になることもあるため注意が必要です。

人工関節は体内に入る人工物、血が通わない異物あるため、一度細菌が付着すると抗生剤などで完全に除去するのは困難です。手術中や術後に金属・ポリエチレンで、できた人工関節に細菌が繁殖する、非常に重篤な合併症といえます。

感染症が起こると、痛みや腫れが起こり、再手術の上、せっかく入れた人工関節ですが、一旦抜いた上、抗生剤入りのセメントで治療を行うといった治療が必要です。

感染には、手術直後に起こるものと、退院後しばらくしてから起こるものがあります。意外かもしれませんが、身体の他の部分、たとえば、虫歯、水虫、皮膚の傷、尿路感染などから細菌が血流に入り、人工関節の周囲に及んで感染を起こすことがあります。

感染症予防のために大切なこと

時期 予防策
手術前 口腔ケア、虫歯治療、糖尿病管理
手術中 清潔な手術環境、抗菌薬投与
入院中 傷口の管理、発熱や腫れの確認
退院後 傷の赤み・腫れ・熱感を放置しない

特に糖尿病がある方、免疫力が低下している方、皮膚トラブルがある方は、注意が必要です。

 

血栓症・肺塞栓症は命に関わることがある

人工関節手術後は足の血流が滞りやすくなり、「血栓症」が起こることがあります。その血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症となり、重症化することがあります。

深部静脈血栓症とは、足の深い場所にある静脈に血のかたまりができる状態です。手術後は安静時間が長くなりやすいため、足の血流が滞りやすくなります。

血栓が肺に飛んで血管に詰まると、肺塞栓症になります。突然の息苦しさ、胸の痛み、冷や汗などが出ることがあり、緊急対応が必要となります。

注意したい症状

症状 考えられる問題
ふくらはぎの腫れ 深部静脈血栓症
片脚だけのむくみ 血流障害
ふくらはぎの痛み 血栓の可能性
突然の息苦しさ 肺塞栓症の可能性
胸の痛み 緊急受診が必要な場合あり

予防には、弾性ストッキング、足首運動、早期離床、必要に応じた薬物療法などが行われます。

 

人工関節のゆるみ・摩耗・再置換

人工関節は、人工物であるため、耐用年数があることをご存知でしょうか?長期的にはゆるみや摩耗が起こり、再置換手術が必要になる場合があります。

実は、人工関節は一度入れれば一生問題なく使える、というものではないのです。近年の人工関節は性能が向上していますが、体重、活動量、骨の状態、手術後の生活習慣によって寿命は様々になります。

特に注意したいのは、若い年齢で人工関節を入れる場合です。活動量が多いほど人工関節への負担が増え、将来的に再置換が必要になる可能性があります。また、年齢が高い方に再手術が必要となった場合に、年齢が原因で合併症のリスクが上がってしまいます。

人工関節を長持ちさせるための工夫

工夫 理由
体重管理 人工関節への負担を減らす
定期検査 ゆるみや摩耗を早期発見する
転倒予防 人工関節周囲骨折を防ぐ
無理なスポーツを避ける 強い衝撃を減らす
筋力維持 膝の安定性を保つ

人工関節手術を受ける場合は、「手術すれば終わり」ではなく、その後の生活管理まで含めて治療と考えることが大切です。

 

合併症を防ぐためにできること

結論として、変形性膝関節症の合併症を防ぐには、早期受診、体重管理、筋力維持、生活環境の見直し、適切な治療選択が重要です。

合併症を防ぐために、患者さん自身ができることは多くあります。以下に予防策をまとめました。

今日から意識したい予防策

対策 内容
早めに受診する 膝の状態を正確に把握する
体重を管理する 膝への負担を減らす
太ももの筋肉を鍛える 膝を安定させる
痛みを我慢しすぎない 悪化や活動量低下を防ぐ
杖やサポーターを活用する 転倒や過負荷を防ぐ
住環境を整える 段差・滑りやすい場所を減らす
治療法を比較する 手術・保存療法・再生医療を検討する

特に重要なのは、痛みを我慢して動かなくなることを避けることです。動かない期間が長くなるほど、筋力低下が進みやすくなるからです。

再生医療という手術以外の選択肢

変形性膝関節症では、標準治療や手術だけでなく、症状や進行度によって再生医療が選択肢となる場合があります。

再生医療は、体がもともと持っている修復力に着目した治療です。変形性膝関節症の分野では、「PRP療法」や「幹細胞治療」などを検討することが可能です。

人工関節手術は、進行した変形性膝関節症に対して「軟骨の再生を目指せる」有力な治療法ですが、入院や手術、合併症リスクが伴います。

一方、再生医療は注射や点滴によって行われるため、体への負担を抑えながら、痛みや炎症の軽減、膝の機能改善を目指す治療として注目されています。

日本では再生医療等を提供する医療機関は、再生医療等提供計画を作成し、認定再生医療等委員会の意見を聴取したうえで、厚生労働大臣へ提出する手続きが必要とされており、当院のような再生医療専門クリニックもございます。

再生医療での治療に興味をお持ちでしたら、お気軽にお問合せください

人工関節手術と再生医療の比較

項目 人工関節手術 再生医療
治療方法 傷んだ関節を人工物に置き換える 細胞や血液成分などを活用する
入院 必要になることが多い 日帰りで行われることが多い
体への負担 比較的大きい 比較的少ない
対象 進行・末期例で検討されやすい 初期〜中等度で検討されることがある
合併症 感染・血栓・出血・ゆるみなど 注射部位の痛み・腫れなどに注意
効果 痛みの改善が期待される 効果には個人差がある
注意点 再置換の可能性 適応判断と説明が重要

変形性膝関節症に対する再生医療について詳しく知りたい方は、以下の治療ページもご覧ください。

変形性膝関節症の再生医療・治療ページはこちら

受診を急いだ方がよいサイン

膝の痛みが強い、急に腫れた、歩けない、熱を持っている、転倒後に痛みが増した場合は、早めに医療機関(整形外科)へご相談ください。変形性膝関節症は慢性的に進行する病気ですが、なかには早めの対応が必要な症状もあります。

早めに相談したい症状

症状 考えられる理由
急に膝が腫れた 炎症、関節液の増加、別疾患の可能性
膝が熱を持っている 感染や強い炎症の可能性
歩けないほど痛い 半月板損傷や骨折などの可能性
転倒後から痛みが強い 骨折や靭帯損傷の可能性
夜間も痛む 進行や炎症が強い可能性
膝が伸びない・曲がらない 関節内の問題が進んでいる可能性

「年齢のせい」「まだ大丈夫」などと決めつけず、痛みの質が変わったときは早めに相談しましょう。

 

まとめ|変形性膝関節症の合併症は、早めの対策で防げるものもある

変形性膝関節症の合併症は、人工関節手術に伴う感染症や血栓症だけではありません。病気そのものを放置することで、歩行障害、筋力低下、転倒、腰痛、股関節痛、反対側の膝の痛み、生活の質の低下など、さまざまな問題につながることがあります。

大切なのは、膝の痛みを「まだ我慢できるから大丈夫」と放置しないことです。

初期から中等度の段階であれば、運動療法、体重管理、薬物療法、注射治療、装具療法などを組み合わせることで、進行を抑えたり、生活しやすい状態を目指したりも可能です。

進行した場合には人工関節手術が選択肢となる一方で、感染症、血栓症、出血、人工関節のゆるみや摩耗などの合併症についても理解しておく必要があります。

また、手術や入院を避けたい方、人工関節に抵抗がある方、まだ手術までは考えていない方にとっては、再生医療が選択肢となる場合もあります。ただし、どの治療が適しているかは、膝の状態や進行度によって異なります。

まずは自分の膝がどの段階にあるのかを知り、合併症を防ぐために、早めに専門医へご相談されることが大切です。

 

監修:医療法人香華会リボーンクリニック本院(福岡)

 

よくある質問|変形性膝関節症の合併症について

Q1. 変形性膝関節症にはどのような合併症がありますか?

A. 変形性膝関節症の合併症には、歩行障害、筋力低下、転倒リスクの増加、腰痛や股関節痛、反対側の膝の痛みなどがあります。

変形性膝関節症は、膝だけの病気と思われがちですが、痛みをかばって歩くことで体全体のバランスが崩れます。その結果、腰・股関節・反対側の膝にも負担がかかることがあります。

また、歩く量が減ることで筋力が低下し、さらに膝が不安定になるという悪循環に入ることもあります。

Q2. 変形性膝関節症を放置するとどうなりますか?

A. 放置すると、膝の痛みや変形が進み、歩行や階段昇降、立ち座りなどの日常生活に支障が出る可能性があります。

初期は「歩き始めだけ痛い」「階段で違和感がある」程度でも、進行すると長く歩けない、正座ができない、外出が減るといった状態につながります。さらに、活動量が減ることで体重増加や筋力低下が起こり、膝への負担がさらに増えることもあります。

Q3. 膝の痛みをかばうと、反対側の膝も悪くなりますか?

A. 可能性があります。痛い膝をかばって歩くと、反対側の膝に体重がかかりやすくなるためです。

たとえば、右膝が痛い場合、無意識に左足へ体重を逃がす歩き方になります。すると、左膝や股関節、腰に負担がかかり、別の場所にも痛みが出ることがあります。片側の膝だけが痛い場合でも、体全体のバランスを見ながら治療することが重要です。

Q4. 変形性膝関節症で腰痛や股関節痛が出ることはありますか?

A. あります。膝の痛みをかばうことで歩き方が変わり、腰や股関節に負担がかかることがあります。膝が痛いと、自然と体を傾けたり、歩幅を小さくしたりします。その状態が続くと、腰や股関節まわりの筋肉に負担がかかります。

そのため、膝の治療では「痛い場所だけを見る」のではなく、歩き方や姿勢、筋力も含めて考えることが大切です。

Q5. 変形性膝関節症が進むと手術が必要になりますか?

A. すべての方に手術が必要になるわけではありません。ただし、痛みが強く、保存療法で改善しない場合は手術が検討されることがあります。まずは、運動療法、体重管理、薬物療法、ヒアルロン酸注射、装具療法などの保存療法が行われることが一般的です。

それでも歩行や日常生活に大きな支障がある場合には、骨切り術や人工膝関節置換術などが選択肢になります。

Q6. 人工関節は一生使えますか?

A. 人工関節は長く使える治療ですが、一生問題なく使えるとは限りません。

人工関節には耐用年数があり、長期間使用する中で摩耗やゆるみが起こる場合があります。特に若い年齢で手術を受けた場合、将来的に再置換手術が必要になる可能性があります。

人工関節を長持ちさせるには、体重管理、転倒予防、定期検査、無理な運動を避けることが大切です。

 


リボーンクリニックは、厚生労働省に届出済みの再生医療専門クリニックです。「変形性膝関節症」をはじめとする膝の痛みに悩む患者さまへ、最新の知見に基づいたオーダーメイドの治療を提供しています。

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