脳梗塞といびきは関係ある?突然の異変と救急車を呼ぶ目安
脳梗塞といびきは関係ある?突然の異変と救急車を呼ぶ目安を解説
「家族が最近、大きないびきをかき始めた」「呼びかけてもなかなか起きない」。
このような状況が続くと、もしかすると脳梗塞ではないか、その予兆ではと不安になり、「脳梗塞 いびき」と検索されたのでしょうか。結論からいうと、いびきをかいているだけで脳梗塞と判断することはできません。
いびきは、睡眠中に鼻や喉の空気の通り道が狭くなることで起こるもので、疲労や飲酒、鼻づまり、体格、睡眠姿勢など、さまざまな原因があります。一方で、脳梗塞や脳出血などによって意識が低下したときに、いびきのような呼吸音が聞かれることがあります。
この場合に大切なのは、いびきの音量や種類ではありません。
まずは「突然起きた変化なのか」「呼びかけに反応するか」「呼吸は普段どおりか」「顔・手足・言葉に異常がないか」を確認しましょう。
この記事では、脳梗塞といびきの関係を整理しながら、どのような状態で救急車を呼ぶ必要があるのか、家族が確認しておきたいポイントを分かりやすく解説してまいります。
脳梗塞といびきの関係?「3つの場面」に分けて考える
「脳梗塞といびきには関係がある」と聞くと、いびきをかいていること自体が脳梗塞の前兆なのではないかと思うかもしれません。しかし、脳梗塞といびきの関係は一つではありません。
まずは、「いつから、どのような状態でいびきがみられるのか」によって、次の3つに分けて考えると分かりやすくなります。同じ「いびき」でも、突然起こった異常と、以前から続く慢性的ないびきでは考え方が異なります。
突然、いつもと違う呼吸音が出た場合
これまで普通に話していた人が突然倒れ、その後に大きな「いびきのような音を」出し始めた場合は、通常の睡眠中のいびきと考えず、スグに意識と呼吸の状態を確認してください。
脳梗塞や脳出血などによって意識が低下すると、舌や喉の筋肉を十分に保てなくなる場合があるからです。仰向けでは舌の付け根などによって気道が狭くなり、空気が通る際にいびきに似た音が出ることがあります。
ただし、いびきのような呼吸音は、脳卒中だけで起こるものではありません。
とはいえ家庭で、
「この音はいびきだから大丈夫」
「この音は脳梗塞の呼吸だ」と聞き分けることは困難です。
| 見るべきなのは音ではなく、本人の状態です。
特に、以下のような変化を伴っている場合は、注意が必要です。
こんな場合は、自宅で原因を見極めようとせず、速やかに119番へ連絡してください。 |
以前から大きないびきが続いている場合
毎晩のようにいびきをかいているからといって、それだけで脳梗塞の前兆というわけではありません。いびきは、睡眠中に鼻や喉の空気の通り道が狭くなり、周囲の組織が振動することで起こります。
例えば、いびきには、さまざまな要因が関係しています。
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一方で、慢性的な大きないびきに加えて、
「寝ている間に呼吸が止まっている」
「いびきが突然止まり、しばらくして大きく息を吸う」
と家族から指摘されている場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は脳卒中を含む心血管疾患との関連が指摘されているため、慢性的ないびきについては「今すぐ脳梗塞なのか」という問題とは別に、医療機関で評価することが大切です。
脳梗塞・脳出血を発症してからいびきが変わった場合
脳梗塞や脳出血を経験した方のなかには、
「退院してからいびきが大きくなった」
「脳卒中になる前はいびきをかかなかった」と家族から指摘される方もいます。
ただし、発症後にいびきが大きくなったという理由だけで、脳卒中が再発したとは判断できません。
いびきの変化には、複数の要因が関係する可能性があります。
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変化が続いている場合は、発症前からいびきがあったのか、いつ頃から変わったのか、睡眠中に無呼吸があるのかなどを整理し、主治医へ相談するとよいでしょう。
ただし、新たな麻痺や言葉の異常、意識の変化が突然現れた場合は別です。その場合は「いびきの相談」と考えず、脳卒中の再発など緊急性の高い状態を考えて救急要請を優先してください。
いびきそのものが脳梗塞を起こすわけではない
「いびきをかく人は脳梗塞になりやすいのでしょうか」と気になる方もいるでしょう。ここで分けて考えたいのが、「いびき」と「睡眠時無呼吸」です。
いびき自体は、空気の通り道が狭くなったことで生じる「音」です。いびきだけを理由に脳梗塞を起こしやすいと判断することはできません。
いびきが起こる仕組み
眠っているときは、起きているときに比べて舌や喉の周囲の筋肉が緩みます。鼻から喉、気管へ続く気道が狭くなると、空気が通過するときに喉周囲の組織が振動し、いびきとして聞こえます。
疲れている日や飲酒した日だけいびきをかく方もいれば、体格や顎の形などによって毎晩いびきをかく方もいます。そのため、問題を考えるときは「いびきをかくか」だけでなく、眠っている間に十分な呼吸が保たれているかを見る必要があります。
「普通のいびき」と脳卒中などに伴う異常な呼吸は音だけでは分からない
「普通のいびきと、脳梗塞のときのいびきは音が違いますか?」と思うかもしれません。しかし、一般の方が音だけを聞いて原因を判断することは困難です。
脳卒中などにより意識が低下した場合にも、気道が狭くなっていびきに似た音が出ることがあります。
逆に、脳梗塞を発症していても、目立ったいびきが出るとは限りません。
したがって、
・ いびきの音が大きい=脳梗塞
でも、
・ いびきがない=脳梗塞ではない
でもありません。
確認すべきは、普段の状態との違いです。
- ここまでのPOINT -
- ●いびきの音だけで脳梗塞は判断できない
- ●突然の変化では意識・呼吸・顔・手足・言葉を見る
- ●慢性的ないびきは睡眠時無呼吸の有無を別に考える
脳梗塞が心配なときは「いびきの音」より普段との違いを見る
家族が普段から大きないびきをかく方であれば、音の変化だけでは異常に気づきにくいかもしれません。
そこで確認したいのが、以下です。
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特に「突然」という点が脳卒中を考えるうえでのポイントになります。
呼びかけへの反応と呼吸を確認する
眠っているように見える場合は、「大きな声で呼びかけ、肩を軽くたたく」などして、その反応を確認します。
いつもなら起きるような呼びかけでも、以下のように明らかに普段と違う場合は注意してください。
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同時に呼吸も確認します。
次のような場合は正常な睡眠中の呼吸ではない可能性が高いといえます。
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「いびきのような音がしているから、呼吸できている」と考えることはできません。反応がなく、正常な呼吸かどうか判断できない場合は、すぐに119番へ連絡し、救急指令員の案内に従ってください。
なお、水や薬を飲ませたり、無理に起こして歩かせたりすることは避けてください。
顔・手足・言葉に突然の変化がないか確認する
呼びかけに反応がある場合でも、脳卒中では顔や手足、言葉などに突然異常が現れることがあります。
こうした脳卒中のサインを覚える方法として「FAST」があります。
| F:Face(顔) 顔の片側が下がっていないか確認します。A:Arm(腕) 両腕を前に出したとき、片方だけ下がってこないか確認します。S:Speech(言葉) ろれつが回らない、言葉が出ないなどの異常がないか確認します。T:Time(時間) 一つでも突然現れた場合は、発症時刻を確認し、速やかに対応します。 |
すべての症状がそろうまで待つ必要はありません。
「いびきはいつもと同じだけれど、突然ろれつが回らなくなった」という場合でも脳卒中を疑います。
症状が一度消えても安心できない
顔のゆがみや手足の麻痺、言葉の異常が数分から数十分で消えることがあります。「治ったから大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、一度現れた神経症状が消えた場合も注意が必要です。
一時的に脳への血流が悪くなる「一過性脳虚血発作(TIA)」などの可能性があります。TIAでは症状が改善しても、その後に脳梗塞を発症することがあります。
そのため、次のような症状(脳卒中を疑うような症状)が突然現れた場合に。たとえ症状が消えたから大丈夫、しばらく様子を見ようではなく、早めに医療機関を受診してください。
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明らかな異変がある場合は119番へ
脳梗塞などの脳卒中では、発症から治療開始までの時間によって選択できる治療が変わる場合があります。そのため、自宅で「脳梗塞かどうか」を判断してから救急車を呼ぶのではなく、次のような状態がある場合は、スグに 119番へ連絡してください。
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本人に運転させたり、無理に歩かせたりすることは避けてください。
救急隊へ伝えるために「時刻」を確認する
救急要請をしたら、可能な範囲で「いつから症状が始まったのか」を確認します。脳卒中の治療では、発症からの経過時間が大切な情報になるからです。
ただし、睡眠中に脳卒中を起こした場合などは、正確な発症時刻が分からないことがあります。
その場合は、
「最後に普段どおりだった時刻」を確認してください。
例えば、
「午後10時に会話したときには普段どおりだったが、朝6時に起こしたら言葉がおかしかった」という情報が参考になります。
救急隊には、次のような情報を分かる範囲で伝えてください。
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※ 記録を集めることより、先に救急要請を優先してください。
慢性的ないびきなら「睡眠時無呼吸」も確認する
ここまで説明してきたのは、突然普段と違う状態が起きた場合です。
一方で、
「何年も前からいびきをかいている」
「呼びかけると普通に起きる」
「顔や手足、言葉にも特に変化はない」
という場合は、緊急時とは分けて考えます。
慢性的ないびきで特に確認したいのが、睡眠時無呼吸症候群です。
その場合に代表的な変化は以下のようなものです。
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ただし、これらの症状だけで睡眠時無呼吸症候群と診断することはできません。必要に応じて医療機関で睡眠中の呼吸状態を調べます。
睡眠時無呼吸は高血圧などとも関連し、脳梗塞を含む脳卒中との関係も指摘されています。
慢性的ないびきについては、「今、脳梗塞か」という緊急判断とは別に、将来の健康管理という視点で評価することが大切です。
脳梗塞といびきについてよくある疑問
Q1.脳梗塞になると必ずいびきをかきますか?
いいえ。脳梗塞を発症した方が必ずいびきをかくわけではありません。意識が低下して気道が狭くなった場合などに、いびきに似た呼吸音が聞こえることがありますが、いびきの有無だけで脳梗塞は判断できません。
Q2.突然大きないびきをかいたら脳梗塞ですか?
突然のいびきだけでは脳梗塞とはいえません。ただし、呼びかけへの反応が悪い、顔がゆがむ、片側の手足に力が入らない、言葉がおかしいなどの変化を伴う場合には、速やかな救急対応が必要です。
Q3.いびきをかいている人が起きない場合はどうすればよいですか?
大きな声で呼びかけ、反応を確認してください。反応がない、または正常な呼吸か分からない場合は119番へ連絡し、救急指令員の案内に従います。
「いびきをかいているから寝ているだけ」と判断して様子を見ることは避けましょう。
Q4.脳梗塞後にいびきが増えたら再発ですか?
いびきが増えたという理由だけでは再発とは判断できません。睡眠時無呼吸、体重、睡眠姿勢、鼻づまり、飲酒など複数の原因が考えられます。
ただし、新たな麻痺や言葉の異常、意識の変化などが突然現れた場合は、再発などを考えて119番への連絡を優先してください。
Q5.以前から大きないびきをかいています。何科へ行けばよいですか?
慢性的ないびきや無呼吸については、睡眠外来、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、内科などで相談できます。医療機関によって対応する診療科が異なるため、分からない場合はかかりつけ医へ相談する方法もあります。
まとめ|脳梗塞が心配な「いびき」は音より普段との違いを確認する
脳梗塞といびきには関係する場面がありますが、いびきをかいているだけで脳梗塞と判断することはできません。
大切なのは、いびきの大きさや音の種類よりも「普段と何が違うのか」です。
いつもと違うと思った場合は、家庭で原因を見極めようとせず、まず119番へ連絡してください。
また、一度現れた症状が消えた場合も「治った」と自己判断しないことが大切です。
一方、以前から続く大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まるような状態については、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
急性の脳卒中を疑う状態と、慢性的ないびき・睡眠時無呼吸は分けて考え、必要な医療につなげていきましょう。
