症例紹介

CASE

突然の小脳梗塞 何気ない日常から一転。再生医療とリハビリの成果

  • 疾患名:小脳梗塞(脳血管障害)
  • イニシャル:R.M様
  • 性別・年齢:30歳 女性
  • 症状:脳血管障害の後遺症:右手足の運動麻痺、感覚障害
  • 脂肪由来幹細胞治療:3回
  • リハビリ:週1回×3ヶ月

 

来院までの経緯

R.M様が最初に身体の異変を感じたのは、当院へ来院される約15年前のことでした。

ご家族とショッピングモールで買い物をしていた際、突然めまいが起こり、歩くことが難しくなられたといいます。そのまま近くの病院を受診されました。

病院では、当日中に検査を受けることができましたが、その日は一度ご自宅へ戻られました。後日、検査結果を聞くために再び病院を訪れたところ、「脳動静脈奇形」があることが分かりました。

 

脳動静脈奇形が見つかり、手術を決断

脳動静脈奇形とは、脳内の動脈と静脈が正常とは異なる形でつながっている血管の異常です。

担当医からは、そのままにしておくと血管が破裂し、脳出血を起こす可能性があると説明されました。手術は難しいものになる可能性がありましたが、ご家族と話し合ったうえで、治療を受けることを決断されました。

 

手術後に小脳梗塞を発症

その後、脳動静脈奇形を取り除くための手術が行いました。

しかし、残念なことに手術後に「小脳梗塞」を発症し、右手足に運動麻痺と感覚障害が後遺症として残りました。自分の意思どおりに右手足を動かしにくく、触れられている感覚や、身体の位置を感じ取りにくい状態となってしまわれたのです。

発症後は、急性期病院に約6か月入院。その後、身体機能の回復を目的として回復期病院へ転院し、さらに約6か月間リハビリに取り組まれました。

 

退院後は車いすで生活

長期間の入院とリハビリを経て退院されたものの、右半身麻痺が残っていたため、日常生活では車いすを使用せざるを得ませんでした。

退院後、ご本人とご家族は「今よりも身体を動かせるようになるため」、ほかに検討できる治療法はないだろうか?と色々な手段で情報を探し続けておられました。

そして、退院から約半年後、ご家族がインターネットで脳卒中(脳血管障害)の後遺症に対する「再生医療」という治療法があることを見つけだされたのです。

詳しい説明を聞きくため、また現在の身体機能と、治療の適応について相談するために当院のカウンセリングを受診いただいたのです。

 

医師

 

医師からのコメント

R.M様が再生医療に期待されていたのは、「できれば自分の足で歩きたい」「利き手である右手を使って、もう一度文字を書けるようになりたい」というものでした。

そこで当院では、歩行能力の向上と右手の操作性を高めることを、治療とリハビリの大きな目標に設定しました。

具体的には、右足で身体を支える力やバランス能力、歩行に必要な下肢の動きを高めることに加え、右手でペンを持つ、文字を書くといった細かな動作の獲得を目指します。

治療方針としては、小脳梗塞後の運動麻痺や感覚障害に対する後遺症に「自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療」をご提案しました。あわせて、患者様の身体機能や目標に合わせたリハビリを組み合わせ、運動機能や書字に必要な動作を段階的に練習していく方針としました。

 

看護師

 

看護師からのコメント

来院時、R.M様は車いすを使用されており、歩く際には隣で身体を支える介助が必要な状態でした。

初診時の問診票では、右手でペンを持つことはできましたが、文字を書くことは難しく、ご家族が代わりに記入されていました。また、車いすから立ち上がる際にも介助が必要でした。

 

初回投与は車いすに座ったまま実施

初回の幹細胞投与では、安全面を考慮し、ベッドへ移乗せず、車いすに座ったまま治療を行いました。

投与中は、血圧や脈拍、体温、酸素飽和度などのバイタルサインを定期的に確認し、体調の変化がないか注意深く観察しました。

また、姿勢の崩れや転倒・転落のリスクにも配慮し、R.M様の状態を確認しながら、安心して治療を受けていただけるよう見守りました。

 

リハビリ

 

リハビリの内容

R.M様が自分の足で歩き、右手で文字を書けるようになるために、まず現在の運動機能や動作能力を詳しく評価しました。

その結果、次の2つを主なリハビリ目標として設定しました。

 

  1. 右脚で体重を支えられるようになる
  2. 右手首や指先を動かし、力加減を調整できるようになる

 

右脚で身体を支えるための訓練

歩くためには、麻痺のある右脚に体重をかけ、身体を安定して支える力が必要です。

そこで、右脚の筋力を高めるトレーニングに加え、どの筋肉にどのように力を入れるのかを意識しながら動かす練習を行いました。

まずは右脚へ少しずつ体重を移し、安全に身体を支えられる状態を目指して訓練を進めました。

 

右手で文字を書くための訓練

文字を書くには、手首を安定して動かすことに加え、ペンを持つ指先の力を細かく調整する必要があります。

そのため、手首を動かす練習や、指先に入れる力を強くしすぎないよう調整する訓練を実施しました。

ペンを握る、離す、動かすといった基本的な動作を繰り返しながら、右手で文字を書くために必要な動きを段階的に練習しました。

 

 

まとめ・突然の小脳梗塞 何気ない日常から一転。再生医療とリハビリの成果

R.M様は、3回の幹細胞投与を終え、週1回のリハビリを約3か月間継続されました。

初診時は、車いすから立ち上がる際やベッドへ移動する際にも介助が必要な状態でしたが、現在はご自身で車いすからベッドまで移動できるようになっています。

日常生活のなかで、自分の力で行える動作が少しずつ増えてきたことは、歩行を目指すうえでも大切な一歩です。

また、右手についても、ペンを持つだけでなく、文字を書く動作の獲得に向けてリハビリを続けています。ご本人も、右手で文字を書ける状態まで「あともう少し」と感じており、次の目標に向けて意欲的に取り組まれています。

今後は、自分の足で歩いて通学するという目標に向けて、右脚で身体を支える力やバランス能力をさらに高めるため、リハビリを継続される予定です。

当院では、R.M様が通学や書字といった希望する生活に少しずつ近づけるよう、今後も身体の状態と目標に合わせた支援を続けてまいります。

 

監修:医療法人香華会リボーンクリニック本院