症例紹介

CASE

胸椎破裂骨折による脊髄損傷からフットサル再開へ|幹細胞治療とリハビリの症例

症例概要

項目 内容
疾患名 脊髄損傷
患者様 M様
年齢・性別 30代・男性
受傷原因 バイク走行中の交通事故
診断・既往 胸椎破裂骨折、胸髄不全損傷、後方ボルト固定術後
主な症状 右下肢の運動麻痺、感覚障害、しびれ、痛み、排泄障害
来院時の状況 一人で歩行し復職しているものの、右下肢の症状が日常生活や仕事に影響していた

 

来院までの経緯

仕事とフットサルを楽しむ日常を一変させた交通事故

M様は、普段はパソコンを使った書類管理やデータ入力などの仕事に従事していました。平日は朝から晩まで仕事に励み、休日には大学時代の仲間とフットサルをすることが、何よりのリフレッシュになっていました。

事故が起きたのは、週末のフットサルを楽しみにしていた金曜日のことです。仕事を終え、バイクで自宅へ帰る途中、対向車線を走っていたミニバンが車線を越え、M様のバイクに正面から衝突しました。

衝突の大きな衝撃によって、M様の身体はバイクから車道へ投げ出され、背中と頭部を強く打ちつけました。

事故直後は、呼吸をすることも困難な状態でした。周囲にいた方々の助けによって、M様は近くの病院へ救急搬送されました。

 

胸椎破裂骨折と診断され、緊急手術へ

搬送先の病院で検査を受けた結果、背骨の一部が強い衝撃によってつぶれる胸椎破裂骨折が確認されました。脊椎を安定させるため、背中側からボルトで固定する後方固定術が行われました。

手術は無事に終了し、M様は一命を取り留めました。

しかし、胸椎の骨折によって脊髄神経が損傷しており、後遺症として胸髄不全損傷が残りました。

特に右下肢には、次のような症状が現れていました。

 

  • ・右脚全体の感覚障害
  • ・右下肢の運動麻痺
  • ・しびれや痛み
  • ・排泄機能の障害
  • ・歩行や動作の不安定さ

 

事故前には当たり前にできていた、歩く、走るは勿論こと、車やバイクを運転するといった動作も難しくなりました。

 

再び歩くために始まったリハビリ

手術後は、病院でリハビリに取り組みました。最初は、ベッドから身体を起こし、立ち上がる練習から始めました。その後、状態に合わせて段階的に訓練を進めていきました。

 

  • ・ベッドから起き上がる練習
  • ・立ち上がり動作の訓練
  • ・杖や手すりを使った歩行練習
  • ・リハビリ室での歩行訓練
  • ・下肢の筋力トレーニング

 

当初は、杖や手すりがなければ歩くことが難しい状態でした。それでもM様は懸命にリハビリを続け、次第に一人で歩けるようになりました。そして、手術から約2か月後に退院するこになります。

 

復職できても…消えなかった右脚のしびれと痛み

退院後、M様は以前のように走ったり、車やバイクを運転したりすることはできません。

それでも、一人でゆっくりと歩けるまでに回復し、事故前と同じ会社へ復職することができました。

しかし、職場へ戻った後も、右脚のしびれや痛みは常に残っていました。長時間パソコンに向かって仕事をしていても、右脚の感覚が気になり、作業に集中できないことが増えていきました。

また、週末の楽しみだったフットサルに参加することも当然できなくなり、仕事には戻れたものの、事故前の日常が戻ったわけではありません。

M様は、身体の変化と向き合いながら生活を続けていくしかなかったのです。

 

「もう一度、笑顔を取り戻してほしい」ご家族が探し続けた治療

M様の様子を近くで見ていたご家族は、何かできる治療はないかと情報を探し始めました。

インターネットだけでなく、雑誌、テレビ、ラジオなど、さまざまな媒体を通じて脊髄損傷の治療について調べ続けました。情報を集め始めてから約半年が経過した頃、ご家族は、患者様自身の細胞を培養して投与する「再生医療」という治療法があることを知りました。

 

「もう一度、M様に笑顔を取り戻してほしい」

 

その思いから、ご家族より当院へお問い合わせをいただき、M様は再生医療について詳しく相談するため、カウンセリングに来院されることになります。

 

医師からのコメント

診察時に確認された症状

M様には、胸椎破裂骨折に伴う脊髄損傷の後遺症として、胸髄不全損傷による症状が認められました。

特に右下肢には、次のような症状がみられました。

 

  • ・運動麻痺
  • ・感覚障害
  • ・しびれや痛み
  • ・筋肉の緊張が強くなる痙性
  • ・下肢筋力の低下
  • ・体幹機能の低下
  • ・排泄障害

 

平坦な道であれば、ゆっくりと一人で歩くことは可能でした。一方で、下肢筋力や体幹機能の低下、痙性などの影響により、階段の昇り降りや傾斜のある道、小走りといった動作は難しい状態でした。

 

日常生活に影響していた排泄障害

M様には排泄機能の障害も残っていました。

夜間や長時間の外出時には、排尿のためにカテーテルを使用する必要があり、日常生活や外出にも制限が生じていました。

歩行機能だけでなく、排泄障害はM様の生活の質にとって非常に大きく関わる課題となっていました。

 

M様が希望されていたこと

M様が治療を通して目指していたのは、次のような変化でした。

 

  • ・右下肢の痛みやしびれを軽減したい
  • ・脚に力を入れやすくしたい
  • ・体幹を安定させたい
  • ・階段や傾斜のある道を歩きやすくしたい
  • ・日常生活でできる動作を増やしたい
  • ・もう一度フットサルに取り組める状態を目指したい

 

特に、事故前から当たり前のように楽しんでいたフットサルを、もう一度、再び楽しみたい。
それは、M様にとって大きな目標でした。

 

幹細胞治療とリハビリを提案

診察結果とM様の希望を踏まえ、当院では、「脂肪由来幹細胞治療」と「リハビリ」を組み合わせた治療をご提案しました。

脂肪由来幹細胞治療は、患者様ご自身の脂肪組織から採取・培養した細胞を用い、損傷した神経周辺の環境改善や炎症の調整などを目指す治療です。

また、脊髄損傷後の機能改善を目指すうえでは、細胞治療だけでなく、継続的なリハビリが重要です。

M様には、現在残されている機能を活かしながら、下肢筋力や体幹機能、歩行能力の向上を目指すため、幹細胞治療と並行してリハビリを行う方針をご説明しました。

治療の効果には個人差があり、損傷の部位や程度、受傷からの期間、身体機能などによって経過は異なります。そのため、治療中も状態を評価しながら、段階的に目標を設定していくことにしました。

 

リハビリで目指したこと

M様が希望されていた「右脚の症状を軽減し、もう一度フットサルに取り組める身体を目指す」という目標に向けて、まず運動機能と動作能力を詳しく評価しました。

評価では、単に筋力の強さだけでなく、次のような点を確認しました。

 

  • ・右脚にどの程度体重をかけられるか
  • ・片脚で身体を支えられるか
  • ・歩行時に地面を蹴り出せるか
  • ・着地時の衝撃を脚全体で受け止められるか
  • ・体幹を安定させたまま下肢を動かせるか
  • ・しびれや痙性が動作にどのような影響を与えているか

 

その結果、歩行能力を高め、将来的に走る、跳ぶといった動作へつなげるためには、主に3つの課題に取り組む必要があると判断しました。

 

リハビリで設定した3つの課題

課題 目指す動作 主な訓練内容
①右脚で片脚立ちができる 右脚で身体を安定して支える 体幹、大腿部、臀部の筋力トレーニング
②ふくらはぎを使って地面を蹴り出せる 歩行時に身体を前へ進める 重心移動と右脚への荷重練習
③着地の衝撃を吸収できる 歩行、ジャンプ、方向転換を安定させる 足関節から膝関節までを連動させる訓練

① 右脚で身体を支える片脚立ちの練習

歩行や走行では、左右の脚で交互に身体を支える必要があります。

M様は右下肢の運動麻痺や感覚障害、筋力低下の影響により、右脚だけで身体を安定して支えることが難しい状態でした。そこで、片脚立ちの安定性を高めるために、次の部位を中心とした筋力トレーニングを行いました。

 

  • ・姿勢を安定させる体幹の筋肉
  • ・膝を支える大腿部の筋肉
  • ・骨盤や股関節を安定させる臀部の筋肉

 

右脚で体重を支えられる時間を少しずつ延ばし、身体が左右に大きく揺れないように姿勢を整える練習を進めました。この訓練は、安定した歩行だけでなく、階段昇降や方向転換、将来的な小走りにつなげるための基礎となります。

 

② ふくらはぎを使って地面を蹴り出す練習

歩行では、足を前へ出すだけでなく、後ろ側の脚で地面を蹴り、身体を前方へ運ぶ動作が必要です。M様は右脚に十分な体重を乗せにくく、ふくらはぎの筋肉を使って地面を蹴り出す動作が難しい状態でした。

そこで、身体の重心がどこにあるのかを確認しながら、右脚へ適切に体重を移す練習を行いました。さらに、右脚に乗せた体重を筋肉の力で前方へ移動させる訓練に取り組みました。

この練習により、次のような動作の改善を目指しました。

 

  • ・歩幅を広げる
  • ・歩行速度を高める
  • ・足を引きずりにくくする
  • ・坂道や階段で身体を前へ運ぶ
  • ・小走りにつながる蹴り出しを身につける

 

③ 歩行やジャンプ時の着地を安定させる練習

歩行やジャンプでは、足が地面に着いた際の衝撃を脚全体で吸収する必要があります。衝撃をうまく受け止められないと、身体がふらついたり、膝や股関節に過度な負担がかかったりする可能性があります。

M様には右下肢の感覚障害があるため、足が地面に着いたときの位置や力加減を把握しにくい状態がみられました。そこで、かかとから着地し、足関節、膝関節へと衝撃を分散させる動作を練習しました。

具体的には、ふくらはぎやすねの筋肉を使いながら、着地時の身体の揺れや膝の曲がり方をコントロールする訓練を行いました。この訓練は、次のような動作につながります。

 

  • ・安定した歩行
  • ・段差を降りる動作
  • ・階段の昇り降り
  • ・ジャンプ後の着地
  • ・フットサルでの方向転換や停止動作

 

週4回、3か月間のリハビリを実施

M様には、幹細胞の投与期間に合わせて、週4回のリハビリを3か月間実施しました。

項目 内容
リハビリ頻度 週4回
実施期間 3か月間
主な目標 右脚の支持力、蹴り出す力、着地時の安定性を高める
長期的な目標 歩行能力を向上させ、走る・跳ぶ・方向転換する動作につなげる

リハビリでは、その日の筋緊張やしびれ、疲労の状態を確認しながら、無理のない範囲で負荷を調整しました。

すぐにフットサルへ復帰することを目指すのではなく、まずは右脚で身体を支える、地面を蹴る、着地を安定させるという基礎動作を一つずつ積み重ねました。

M様が持っている機能を活かしながら、日常生活の動作改善と、その先にあるフットサルへの復帰を見据えてリハビリを進めました。

治療後の経過

M様には、胸椎破裂骨折後の脊髄損傷に対して、幹細胞投与を3回行い、あわせて週4回のリハビリを3か月間実施しました。治療開始前は、仕事中や夜間にも右脚全体のしびれや痛みが続き、集中力や睡眠、外出にも影響していました。

3か月間の治療とリハビリを終えた時点で、M様からは、これまで続いていた右脚のしびれや痛みを感じなくなったとのお話がありました。

 

 

右脚で身体を支えられるようになり、外出への不安が軽減

しびれや痛みが軽減したことで、M様は右脚に体重をかけやすくなりました。

治療前は、階段や段差を移動する際に手すりを必要としていましたが、治療後は次のような動作が行えるようになりました。

 

  • ・駅構内の階段を手すりにつかまらずに昇り降りする
  • ・バスの乗り降りの際に、ステップを一人で移動する
  • ・右脚で身体を支えながら段差を越える
  • ・以前よりも安心して外出する

 

移動への不安が少なくなったことで、外出する機会も徐々に増えていきました。

事故後は外出そのものに負担を感じることも多かったM様にとって、再び自分の足で出かけられるようになったことは、大きな喜びとなりました。

 

目標だったフットサルの練習を再開

日常生活での動作が安定してきたことから、なんとM様は事故前からの目標であったフットサルの練習にも取り組み始めました。右脚で片脚立ちができるようになったことで、ボールを扱う際の動作にも変化がみられました。

 

練習で行えるようになった動作

  • ・右脚で身体を支える
  • ・ボールを蹴る
  • ・足元に来たボールを止める
  • ・ボールの方向や強さを調整する
  • ・ゆっくりと小走りをする

 

小走りの練習を重ねた結果、フットサルコートの端から端まで、ゆっくりと走れるようになりました。

事故後はまったくできなくなっていたフットサルに再び取り組めたことは、M様にとって身体機能の変化だけでなく、生活の楽しみを取り戻す大きな一歩となったのです。

 

現在も残る課題

一方で、治療開始から3か月の時点では、すべての動作が事故前と同じ状態に戻ったわけではありません。走行時には、片脚へ体重がかかった際の衝撃を十分に吸収し、安定して身体を支えることが今後の課題として残っています。

特にフットサルでは、次のような動作が必要になります。

 

  • ・急な加速や減速
  • ・素早い方向転換
  • ・相手との接触に耐える姿勢保持
  • ・ジャンプ後の着地
  • ・長時間走り続ける持久力

 

これらの動作を安全に行うためには、右下肢の筋力だけでなく、体幹の安定性やバランス能力、着地時の衝撃を調整する力をさらに高める必要があります。

 

次の目標は、1試合を走り切ること

M様の次の目標は、フットサルの試合に参加し、1試合を通して走り切れる身体をつくることです。現在もリハビリを継続しながら、次の課題に取り組んでいます。

 

今後の課題 目指す状態
右脚の支持力向上 片脚に体重がかかっても安定して支えられる
着地動作の改善 走行やジャンプ後の衝撃を吸収できる
方向転換能力の向上 フットサル中の切り返しに対応する
持久力の向上 長時間の運動を継続できる
走行動作の安定 より速く、安全に走れる状態を目指す

すぐに試合復帰を目指すのではなく、一つひとつの動作を確認しながら、安全に運動強度を高めています。

 

患者様の目標に合わせたリハビリをサポートします

当センターでは、治療期間だけでリハビリを終了するのではなく、患者様の身体の状態や生活上の目標に合わせて、継続的なリハビリをご提案しています。

 

目標は患者様によって異なります。

  • ・一人で歩けるようになりたい
  • ・階段を昇り降りしたい
  • ・仕事へ復帰したい
  • ・車を運転したい
  • ・趣味やスポーツを再開したい

 

そのため、現在できる動作や残されている機能を評価し、必要な訓練を組み立てながら、目標に近づくための支援を行っています。再生医療を受けている方だけでなく、リハビリのみのご相談も可能です。

脊髄損傷後のしびれや痛み、歩行障害、筋力低下などでお悩みの方は、現在の身体の状態や今後目指したい生活について、一度ご相談ください。

 

リボーンクリニック本院の特長

院内に隣接する細胞加工施設との連携

リボーンクリニック本院には、細胞の培養・加工を行う厚生労働省の認可得た「細胞加工施設」が隣接しています。

培養を終えた細胞は、凍結せず生きた状態の細胞浮遊液として、隣接する施設からクリニックへ直接運ばれます。細胞の加工から投与までの移動距離や時間を抑えられることは、当院の細胞治療体制における特徴の一つです。

また、脂肪由来幹細胞治療では、患者様の腹部などから採取した脂肪組織を用いて細胞を培養します。当院では、米粒2~3粒程度に相当する少量の脂肪組織から採取を行い、治療計画に応じて1億個以上の細胞数まで培養することが可能です。

 

当院の細胞培養・投与体制の特徴

  • ・細胞加工施設がクリニックに隣接している
  • ・培養後の細胞を凍結せず、投与施設まで直接運ぶ
  • ・細胞の輸送にかかる時間や距離を抑えられる
  • ・少量の脂肪採取による身体的負担の軽減に配慮している
  • ・治療計画に必要な細胞数まで培養し、品質を確認したうえで投与する

 

再生医療、中でも幹細胞治療では、投与する細胞の数は勿論ですが、培養工程や品質管理、細胞の生存率、輸送方法、投与までの時間などを総合的に管理できる経験が重要です。選択時は、豊富な実績、投与する細胞品質を比べてぽえ。

当院では、細胞加工施設と医療現場が連携し、培養から投与まで一貫して管理できる体制を整えています。

 

監修:医療法人香華会リボーンクリニック本院

ID146


当院の特長:院内に隣接する細胞加工施設との連携

リボーンクリニック本院には、細胞の培養・加工を行う厚生労働省の認可得た「細胞加工施設」が隣接しています。

培養を終えた細胞は、凍結せず生きた状態の細胞浮遊液として、隣接する施設からクリニックへ直接運ばれます。細胞の加工から投与までの移動距離や時間を抑えられることは、当院の細胞治療体制における特徴の一つです。

また、脂肪由来幹細胞治療では、患者様の腹部などから採取した脂肪組織を用いて細胞を培養します。当院では、米粒2~3粒程度に相当する少量の脂肪組織から採取を行い、治療計画に応じて1億個以上の細胞数まで培養することが可能です。

 

当院の細胞培養・投与体制の特徴

  • ・細胞加工施設がクリニックに隣接している
  • ・培養後の細胞を凍結せず、投与施設まで直接運ぶ
  • ・細胞の輸送にかかる時間や距離を抑えられる
  • ・少量の脂肪採取による身体的負担の軽減に配慮している
  • ・治療計画に必要な細胞数まで培養し、品質を確認したうえで投与する

再生医療、中でも幹細胞治療では、投与する細胞の数は勿論ですが、培養工程や品質管理、細胞の生存率、輸送方法、投与までの時間などを総合的に管理できる経験が重要です。選択時は、豊富な実績、投与する細胞品質でお比べください。

当院では、細胞加工施設と医療現場が連携し、培養から投与まで一貫して管理できる体制を整えています。

お気軽にお問合せください

 

<治療時の注意>

・腹部より細胞採取時は麻酔による処置をいたします。
・採取時の内出血や創部感染、傷跡などが起こることがあります。
・症状により、事前にMRIやCTなどの検査を受けて頂く事があります。

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