脳出血後の右片麻痺に再生医療|車椅子から自立歩行を目指した治療経過
症例概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 患者様 | T様 |
| 年齢・性別 | 50代・男性 |
| 疾患名 | 左被殻出血、高血圧症 |
| 主な後遺症 | 右上下肢の運動麻痺、感覚障害、失語症、高次脳機能障害 |
| 高次脳機能障害の症状 | 記憶力や注意力の低下 |
| 主な希望 | 右手を使いやすくしたい、言葉を増やしたい、生活への意欲を取り戻したい |
| 治療 | 再生医療、継続的なリハビリ |
| 治療後に感じられた変化 | 上肢機能や歩行能力の向上、発語の増加、生活意欲の変化 |
来院までの経緯
仕事中に突然、身体を動かせなくなった
T様は、発症前まで仕事を続け、日常生活も自立して過ごしていました。ところが2022年12月、仕事中に突然、身体を思うように動かせなくなりました。
その場で救急搬送され、病院で検査を受けた結果、左被殻出血と診断されました。急性期には保存的な治療が行われ、そのまま入院して経過をみることになりました。
右半身の麻痺と言葉の障害が残る
脳出血後、T様には右半身の運動障害と失語症が強く現れました。そのほかにも、次のような症状がみられました。
- ・右上肢の運動麻痺
- ・右下肢の運動麻痺
- ・右半身の感覚障害
- ・言葉が出にくい失語症
- ・記憶力の低下
- ・注意を持続しにくい状態
- ・日常生活への意欲低下
発症前まで元気に働いていたT様にとって、突然身体が動かなくなり、思うように言葉を伝えられなくなったことは、大きな変化でした。
それまでの日常が一変し、次第に無気力感も強くなっていきました。
入院生活で強まった心身の負担
T様にとって、入院生活は身体的にも精神的にも苦しい時間となりました。もともとご家族によると、T様は厳格な性格で、ご自身の考えをはっきりと言葉にして話す方だったそうです。
しかし、脳出血後は会話が難しくなり、自分の思いを周囲へ伝えられない場面が増えました。身体を自由に動かせないことに加え、言葉が出にくい状態が重なり、次第に塞ぎ込む様子もみられるようになりました。
ご家族は、以前のようなT様の姿を少しでも取り戻したいと考え、脳出血後遺症に対する治療について調べ始めました。
ご家族が見つけた再生医療という選択肢
ご家族は、現在受けている治療やリハビリに加えて、ほかに検討できる方法はないか、さまざまな情報を集めました。そのなかで、脳血管障害の後遺症に対する再生医療があることを知りました。
ご家族としては、
- 「少しでも身体の機能が良くなってほしい」
- 「以前のように言葉を交わせる時間を増やしたい」
という思いがありました。
T様ご本人にも、右手をもう少し使えるようになりたいという強い希望がありました。
右利きだったT様にとって、右手が思うように動かないことは、食事や着替えをはじめとする日常生活に大きな影響を及ぼしていました。また、失語症についても、少しでも言葉を取り戻し、自分の思いを伝えられるようになりたいと希望されていました。
T様が目標としていたこと
T様とご家族が治療を通して希望されていたのは、次のような変化でした。
- ・右手を少しでも使いやすくしたい
- ・食事や着替えなど、自分でできることを増やしたい
- ・右脚の動きを高め、安定して歩けるようになりたい
- ・言葉を増やし、自分の気持ちを伝えたい
- ・記憶力や注意力を高めたい
- ・生活に対する意欲を取り戻したい
- ・家族との会話や外出の機会を増やしたい
こうした希望から、T様はご家族とともに当院を受診されました。
半信半疑のなかで始めた治療
治療を検討する段階では、T様とご家族にも、
- 「どこまで変化が期待できるのだろうか」
- 「本当に治療を受ける意味があるのだろうか」という不安がありました。
再生医療は、すべての後遺症を改善したり、発症前の状態へ完全に戻したりすることを保証するものではありません。そのため、治療の特徴や限界、考えられるリスクについて説明したうえで、T様の状態を確認しながら段階的に治療を進める方針となりました。
また、再生医療だけに頼るのではなく、残されている身体機能を活かすために、リハビリも継続して行いました。
治療とリハビリを続けるなかでみられた変化
治療とリハビリを継続するなかで、T様とご家族からは、身体機能や日常生活に変化を感じているとのお話がありました。
ご本人・ご家族が感じられた主な変化
- ・右上肢を以前より動かしやすくなった
- ・歩行時の安定感が高まった
- ・身体を動かす機会が増えた
- ・発する言葉の数が増えた
- ・リハビリに前向きに取り組むようになった
- ・日常生活への意欲が高まった
- ・周囲との関わりが増えた
特にご家族が大きな変化として感じられたのは、T様が話す言葉の数が増えたことでした。
発症後は言葉が少なく、塞ぎ込みがちだったT様が、少しずつ自分から話そうとする場面が増えたことを、ご家族は大変喜ばれていました。
身体の変化が、生活への意欲につながる
治療前のT様は、身体を思うように動かせないことや、言葉が出にくいことによって、日常生活への意欲を失いかけていました。
しかし、上肢機能や歩行能力に変化を感じられるようになったことで、ご本人の表情や行動にも前向きな変化がみられるようになりました。
リハビリに対しても、以前より積極的に取り組まれています。
身体機能の向上だけでなく、
- 「もう少し動かせるようになりたい」
- 「もっと話せるようになりたい」
という気持ちが生まれたことも、T様とご家族にとって大切な変化となりました。現在は、これまでの治療後の経過を踏まえ、追加の治療も希望されています。
今後も身体機能や言語機能、日常生活の状態を確認しながら、継続的に治療とリハビリへ取り組む予定です。

治療経過
来院当初は車椅子での移動が中心
治療開始時のT様には右片麻痺があり、歩行には下肢装具と杖が必要でした。
当院へ初めて来院された際は車椅子を使用しており、ご自身だけで安定して歩くことは難しい状態でした。身体機能の低下に加え、脳出血後の生活の変化によって気持ちも落ち込み、日常生活やリハビリに対する意欲の低下もみられました。
T様が掲げた3つの目標
カウンセリングでは、T様ご本人から今後実現したいことを伺いました。
特に強く希望されていたのは、次の3つです。
- 右手を使って自分で食事をしたい
- 自分の力で歩けるようになりたい
- 言葉をスムーズに話せるようになりたい
いずれも、単に身体機能を高めるだけではなく、日常生活の自立やご家族とのコミュニケーションにつながる大切な目標です。
幹細胞治療10回とリハビリを実施
T様には、身体機能や症状の状態を確認しながら、幹細胞治療を10回実施しました。また、治療と並行して継続的なリハビリにも取り組んでいただきました。
| 治療・訓練 | 内容 |
|---|---|
| 幹細胞治療 | 10回実施 |
| 歩行リハビリ | 立位保持、下肢への荷重、バランス、歩行練習 |
| 上肢リハビリ | 右腕や右手を動かす訓練、日常生活動作の練習 |
| 言語訓練 | 発声、発語、言葉を引き出すための練習 |
| 継続状況 | 現在もリハビリを継続中 |
治療では、再生医療だけに頼るのではなく、残されている機能を生活のなかで使える状態へつなげるため、リハビリを並行して行いました。
車椅子での来院から、ステッキでの自立歩行へ
治療とリハビリを継続するなかで、T様の移動方法にも変化がみられました。来院当初は車椅子を使用していましたが、現在はステッキを使い、ご自身で歩いて移動されています。
歩行状態の変化
| 時期 | 移動・歩行の状態 |
|---|---|
| 来院当初 | 車椅子で来院 |
| 治療開始時 | 下肢装具と杖を使用して歩行 |
| 現在 | ステッキを使用し、自立して歩行 |
歩行能力が高まったことで、自分で身体を動かせる場面が増え、リハビリに対する姿勢にも前向きな変化がみられています。
ただし、現在もステッキを必要としており、完全に補助具なしで歩ける状態ではありません。
3つの目標に向け、現在もリハビリを継続
T様の治療は、歩けるようになることだけを目的としているわけではありません。
右手を使った食事、安定した自立歩行、スムーズな発語という3つの目標に向け、現在もリハビリを続けています。
今後取り組む主な課題
- ・右手で食器や箸を扱う動作
- ・右上肢を日常生活で使う機会を増やす
- ・歩行時のバランスを高める
- ・ステッキへの依存を段階的に減らす
- ・より長い距離を安全に歩く
- ・言葉を引き出し、会話につなげる
- ・記憶や注意を使う課題に取り組む
- ・日常生活への意欲を維持する
T様ご本人の目標と意欲を大切にしながら、現在の身体機能に合わせて訓練内容を調整しています。
ID409
当院の特長:院内に隣接する細胞加工施設との連携
リボーンクリニック本院には、細胞の培養・加工を行う厚生労働省の認可得た「細胞加工施設」が隣接しています。
培養を終えた細胞は、凍結せず生きた状態の細胞浮遊液として、隣接する施設からクリニックへ直接運ばれます。細胞の加工から投与までの移動距離や時間を抑えられることは、当院の細胞治療体制における特徴の一つです。
また、脂肪由来幹細胞治療では、患者様の腹部などから採取した脂肪組織を用いて細胞を培養します。当院では、米粒2~3粒程度に相当する少量の脂肪組織から採取を行い、治療計画に応じて1億個以上の細胞数まで培養することが可能です。
当院の細胞培養・投与体制の特徴
・細胞加工施設がクリニックに隣接している
・培養後の細胞を凍結せず、投与施設まで直接運ぶ
・細胞の輸送にかかる時間や距離を抑えられる
・少量の脂肪採取による身体的負担の軽減に配慮している
・治療計画に必要な細胞数まで培養し、品質を確認したうえで投与する
再生医療、中でも幹細胞治療では、投与する細胞の数は勿論ですが、培養工程や品質管理、細胞の生存率、輸送方法、投与までの時間などを総合的に管理できる経験が重要です。選択時は、豊富な実績、投与する細胞品質でお比べください。
当院では、細胞加工施設と医療現場が連携し、培養から投与まで一貫して管理できる体制を整えています。

