前十字靱帯損傷から35年後に再び膝の痛み|幹細胞治療を受けた52歳女性の症例
目次
前十字靱帯損傷から35年。再び強くなった膝の痛みに幹細胞治療を行った52歳女性の症例
10代の頃からバレーボールを続けてきたA様。
17歳のときに右膝の前十字靱帯を損傷し、手術を受けました。その後しばらくは大きな問題なく過ごしていましたが、40代になってから右脚に力が入りにくくなり、膝の不安定感や痛みが徐々に強くなってきたそうです。
整形外科では、「膝軟骨のすり減り」を指摘され、将来的には手術が必要になる可能性があるとも説明されました。
「できることなら、大きな手術を受ける前に、ほかの治療を検討したい」
その思いから再生医療にたどり着かれ、調べた上で当院へご相談いただいた症例をご紹介します。
症例概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 患者様 | A様 |
| 年齢・性別 | 52歳・女性 |
| 主な症状 | 右膝の痛み、不安定感、右脚の力の入りにくさ |
| 既往歴 | 17歳時に右膝前十字靱帯を損傷し、再建手術 |
| 検査所見 | 内側半月板損傷、関節軟骨の減少、関節裂隙の狭小化 |
| それまでの治療 | リハビリ、ヒアルロン酸注射 |
| 当院で選択した治療 | 自家脂肪由来幹細胞治療、リハビリ |
| 治療の目標 | 膝の痛みを軽減し、手術以外の方法で日常生活やバレーボールを続けること |
来院までの経緯
17歳のとき、バレーボール中に前十字靱帯を損傷
A様は10代の頃からバレーボールに打ち込み、学生時代から活発に身体を動かしていました。
17歳のとき、試合中にスパイクを打って着地した際、右膝に強い痛みが走り、そのまま転倒しました。整形外科を受診し、MRI検査を受けた結果、右膝の「前十字靱帯損傷」が見つかりました。
その後、前十字靱帯の再建手術を受け、手術は無事に終了しました。
そして、しばらくの間は膝の状態も安定し、日常生活で大きな支障を感じることなく過ごしていました。
40代から、膝の不安定感と痛みが再び強くなる
ところが、そんなある日、40代になった頃からか右脚に力が入りにくいと感じるようになったのです。
次第に膝の不安定感も強くなり、痛みを感じる場面が増えていかれました。
A様は一時期バレーボールから離れていましたが、完全に辞めたわけではなく、機会があればプレーを続けていました。
そのようななか、試合でレシーブをした際に右膝に痛みが出現。以前とは違う膝の違和感を覚え、再び整形外科を受診しました。
軟骨のすり減りを指摘され、将来的な手術を提案される
検査の結果、右膝の関節軟骨がすり減っていることが分かりました。
医師からは、このまま変形や症状が進行した場合、将来的に手術が必要になる可能性があるとを説明されました。
過去に前十字靱帯の手術を経験していたA様は、できるだけ手術を避けたいと考え、まずは「保存療法」を選択しました。
A様が受けた保存療法
- リハビリテーション
- ヒアルロン酸注射
- 運動や日常生活の調整
- 膝の状態を確認しながらの経過観察
治療を始めた当初は順調に感じられましたが、時間が経過しても痛みは十分には軽減しません。
「このまま痛みを抱え続けるしかないのだろうか」
そうした不安から、A様は手術以外の治療方法についてインターネットをつかって調べ、再生医療という選択肢があることを知りました。
当院での診察と検査
当院では、これまでの治療歴や現在の症状を詳しく伺い、画像検査をもとに膝の状態を確認しました。
検査で確認された主な所見
- 内側半月板の損傷
- 関節軟骨の減少
- X線画像における関節裂隙の狭小化
- 歩行や運動時に生じる右膝の痛み
- 膝の不安定感
- 右脚の力の入りにくさ
過去の前十字靱帯損傷や手術後の関節への負担に加え、長年のスポーツ活動など、複数の要因が現在の症状に影響している可能性が考えられました。
膝の一般的な治療と再生医療の位置づけ
膝の痛みや変形に対しては、症状や進行度に応じて、さまざまな治療方法があります。
| 治療方法 | 主な目的・特徴 |
|---|---|
| 運動療法・リハビリ | 筋力や関節の動きを保ち、膝への負担を軽減する |
| 鎮痛薬・外用薬 | 痛みや炎症を一時的に和らげる |
| ヒアルロン酸注射 | 関節内の動きを滑らかにし、症状の緩和を目指す |
| 装具療法 | 膝にかかる力を調整し、動作を支える |
| 骨切り術 | 荷重のかかる位置を変え、自分の関節を残すことを目指す |
| 人工関節置換術 | 傷んだ関節を人工関節に置き換える |
| 再生医療 | 血液や細胞を用いて、痛みや炎症の軽減、関節環境の改善を目指す |
保存療法で十分な症状の改善が得られない場合の治療法としては、「骨切り術」や「人工関節置換術」といった手術が検討されることになります。
一方、手術を希望しない方や、ほかの治療選択肢を検討したい方に対しては、診察や検査の結果によって、「PRP療法」や「幹細胞治療」といった手術以外の治療法である、「再生医療」が選択肢とすることができます。
PRP療法と幹細胞治療の違い
膝に対する再生医療には、主にPRP療法と幹細胞治療があります。
| 項目 | PRP療法 | 幹細胞治療 |
|---|---|---|
| 使用するもの | 患者様自身の血液から抽出した多血小板血漿 | 患者様自身の脂肪などから採取・培養した細胞 |
| 主に期待される作用 | 成長因子などによる炎症や痛みの軽減 | 炎症の調整や、損傷した関節周辺の環境改善 |
| 採取方法 | 採血 | 脂肪組織などを採取 |
| 治療までの期間 | 比較的短期間 | 細胞培養に一定の期間が必要 |
| 適応 | 症状や損傷の状態を確認して判断 | 症状、画像所見、既往歴などを総合的に判断 |
A様の場合は、MRI検査で内側半月板の損傷や関節軟骨の減少が確認され、X線画像でも関節裂隙の狭小化が認められました。
また、ご本人ができる限り手術を避けたいと希望されていたため、治療内容、費用、リスク、限界について説明したうえで、自家脂肪由来幹細胞治療を選択されました。
A様が幹細胞治療を選択した理由
A様が治療に求めていたのは、単に膝の痛みを軽くすることだけではありませんでした。
A様の治療目標
- ・大きな手術を受ける前に、ほかの治療を試したい
- ・日常生活を痛みに制限されずに過ごしたい
- ・膝の不安定感を軽減したい
- ・今後も自分の脚で活動を続けたい
- ・趣味のバレーボールを続けたい
治療の適応や限界について説明を受けたうえで、A様は自家脂肪由来幹細胞治療に取り組むことを決めました。
脂肪採取に対して感じていた不安
幹細胞治療では、A様ご自身の腹部から脂肪組織を採取しました。
最初に脂肪を採取すると聞いた際には、A様も驚き、不安を感じられたそうです。しかし、実際に説明を受けて治療に臨むと、想像していたよりも切開は小さく、処置も短時間で終了し安心されたそうです。
採取した脂肪組織から細胞を分離、培養した後に品質を確認したうえで右膝の関節内へ投与します。
その後は、膝の状態に合わせながら、自宅でのリハビリも継続していただきました。
治療後の経過
幹細胞治療とリハビリを継続した結果、A様から、「膝の痛みが軽減」し、以前より「行動しやすくなった」とのお話をいただきました。
A様が感じられた変化
- ・右膝の痛みが気になりにくくなった
- ・日常生活で自由に動ける場面が増えた
- ・膝への不安が軽減した
- ・趣味のバレーボールを少しづつ再開できるようになった
- ・治療を選択して良かったと感じている
症状のために続けることを迷っていたバレーボールにも再び取り組めるようになり、現在は趣味を楽しみながら日常生活を送られています。
患者様の感想
| 治療前は、腹部から脂肪を採取すると聞いて驚きました。
しかし、実際には説明を受けていたとおり切開は小さく、処置も短時間で終わりました。採取した部分の傷も思っていたほど目立たず、安心しました。 培養した細胞を膝に投与した後も、自宅でリハビリを続けました。 治療後は膝の痛みが気にならなくなり、以前よりも自由に行動できるようになりました。今では趣味だったバレーボールも続けられており、この治療を選んで良かったと感じています。 |
医師からのコメント
A様は、10代の頃に右膝の前十字靱帯を損傷し、再建手術を受けられていました。
その後、長期間にわたってスポーツを続けてきたなかで、内側半月板の損傷や関節軟骨の減少、関節裂隙の狭小化など、膝関節に変性が進んでいました。
リハビリやヒアルロン酸注射を受けても症状が十分に軽減せず、ご本人が手術以外の選択肢を希望されていたため、幹細胞治療についてご説明いたしました。
幹細胞治療は、痛みや炎症の軽減、関節内の環境改善を目指す治療で、すり減った軟骨や損傷した半月板を修復できる可能性を持った新しい治療法です。
ただ、膝の変形や不安定性が強い場合には、骨切り術や人工関節置換術などの手術が適していることもあります。
治療方法を選ぶ際には、画像所見だけでなく、年齢、症状、活動量、これまでの治療歴、今後どのような生活を送りたいかを含め、総合的に検討することが大切です。
再生医療は、実績を有した専門院でカウンセリングを受けるところから始めてください。また幹細胞治療は、培養品質が非常に大切です。採取した幹細胞を健康的に元気に活動的な状態で投与できるかが鍵です。その視点で選択いただければと思います。
膝の痛みで、好きなスポーツを諦めていませんか?
昔のけがや手術から長い年月が経過した後に、膝の痛みや不安定感が現れることがあります。
次のような症状がある場合は、現在の膝の状態を改めて確認することが大切です。
- ・過去に前十字靱帯や半月板を損傷したことがある
- ・膝に力が入りにくい
- ・運動時に膝が不安定になる
- ・保存療法を続けても痛みが改善しない
- ・軟骨のすり減りを指摘された
- ・手術を勧められたが、ほかの治療方法も知りたい
- ・スポーツや趣味をできるだけ続けたい
当院では、これまでのけがや手術歴、現在の症状、画像検査の結果、患者様の生活上の目標を確認したうえで、再生医療が選択肢となるかを検討します。
再生医療だけを勧めるのではなく、保存療法や手術を含め、それぞれの治療の特徴を整理し、納得して治療方法を選べるようサポートしています。無理に治療をお勧めすることはございませんので安心してお問合せください。