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下垂足とは?原因とリハビリについて解説!

脳出血

「歩いていると、つま先が地面に引っ掛かる」
「足首を上に反らせにくい」
「転びやすくなった」
「歩くときに、股関節や膝を大きく上げるようになった」

このような症状がある場合、下垂足(Drop foot)が関係している可能性があります。

下垂足は、足首を上に持ち上げる足関節の「背屈」が十分にできなくなる状態です。

ここで大切なのは下垂足は病気の名前ではなく、「症候(症状の現れ)」であるということです。

  • 脳卒中によるものか
  • 神経の圧迫によるものか
  • 腰の神経が原因なのか

などによって、必要な治療やリハビリ内容は大きく異なります。

正常歩行の遊脚相(足が床から離れているとき)では、最低足関節背屈10度が必要とされ、これが消失すると足先が床面をこすり、転倒リスクが急増すると言われています。

今回は、下垂足の原因や歩き方への影響、リハビリ、そして再生医療について詳しく解説します。

 

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そもそも“下垂足”とは?

下垂足とは、簡単に言うと、「歩くときに、足首を上に持ち上げることができない状態」です。

私たちは、遊脚相(歩行時の足が地面から離れている状態)でつま先が床に当たらないように足首を適度に背屈させています。

ところが、足首を持ち上げる筋肉が弱くなるとつま先が下がり、床に引っ掛かるようになり、転倒へと繋がります。さらに下垂足が続くと、身体は「躓かないようにする」ため、別の動きを使って代償するようになります。

下垂足の原因は、一つではありません。下垂足を起こす代表的な原因には、以下のようなものがあります。

脳卒中

脳梗塞や脳出血などにより、足首を動かす運動指令がうまく伝わらなくなることで生じます。脳卒中の場合は、単純に筋力が低下しているだけではありません。複数の後遺症が複合的に影響しています。

例えば、痙縮(けいしゅく:筋肉が過剰に硬くなる状態)により、足首周囲の筋緊張が過剰に高まると、物理的可動性が制限され、足首を持ち上げることができません。

また、感覚障害により自分の足の位置や動きを正確に認識できないと、足を振り出す適切なタイミングで背屈の指令が出せなくなり、下垂足が生じます。

紹介したものは、ほんの一部で、多くの原因が組み合わさって起こるため、単純に筋力トレーニングをすれば良いというわけではありません。

腓骨神経麻痺

膝関節の外側にある「腓骨頭」という部分の周囲には、総腓骨神経という神経が比較的皮膚に近いところを通っています。

そのため、

  • 長時間の足組
  • 膝を圧迫する姿勢
  • 長時間の同じ姿勢
  • 外傷
  • 手術後

などによって、神経を圧迫されることがあります。

腓骨神経が障害されると、足首を背屈する筋肉に神経からの指令が届きにくくなり、下垂足が生じることがあります。

L5神経根症

腰椎の神経が圧迫されることで、足首や足の指を動かす筋肉に力が入りにくくなります。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアなどが原因となる場合があります。この場合は、単純な腓骨神経麻痺とは異なり、腰からでる神経根の障害として評価する必要があります。

その他末梢神経障害

遺伝性の末梢神経障害であるシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)などでも、下垂足を認めることがあります。

 

つまり、「下垂足=腓骨神経麻痺」とは限りません。

原因を見極めることが、リハビリを行う上で非常に重要です。

なぜ躓くの?

足首を持ち上げる動作を“背屈”と言います。

主に

  • 前脛骨筋
  • 長趾伸筋
  • 長母趾伸筋
  • 第三腓骨筋

などの筋肉が働きます。

特に、前脛骨筋は足首を背屈させる代表的な筋肉です。

この筋肉を動かす神経に問題が起こると。歩行中につま先を十分に持ち上げることができなくなります。

さらに足首を持ち上げられないだけではなく、歩行時の踵からゆっくり足底全面をつける際、前脛骨筋が働き、足部が勢いよくペタンと落ちないようにコントロールもしています。

この働きが低下すると、足の裏全体をぺたぺたつけて歩くようになります。

つまり下垂足では①足を振り出すときにつま先を上げられないだけでなく、②足をついた直後の足首のコントロールも低下することがあります。

下垂足になると鶏歩(けいほ)が起こる!?

歩行時につま先が床に引っ掛かるのを避けるために、身体は無意識に別の動きで補おうとします。

その代表的な例が“鶏歩”と呼ばれる歩き方です。

これは患側の足を前に出す際、股関節や膝関節を大きく曲げて足を高く持ち上げる動作を指します。つま先が下がってしまう分、足全体を高く上げることで地面を回避しようとする身体の「代償反応」です。

こうした代償動作は一時的な回避策としては機能しますが、過剰になると見た目の不自然さに留まらず、バランスを崩して転倒するリスクを高めます。さらにエネルギーの消費量も増えるため、歩行時の過度な疲労感にもつながってしまいます。

ここからは、下垂足に伴って現れやすい代表的な3つの代償動作をご紹介します。

①股関節・膝関節を大きく曲げる

足先を床から離すために股関節・膝関節を通常より大きく曲げるようになります。

一見すると、足をしっかりあげることができているように見えますが、その分、余計な筋活動が必要となります。

その結果

  • 疲れやすい
  • 歩行速度が低下する
  • 長距離を歩きにくい

などに繋がることがあります。

②骨盤を持ち上げる・傾ける

患側の足を振り出しやすくするために、骨盤を持ち上げるような動きが出ることがあります。

また、体幹を左右に傾けることで、足を前に振り出すスペースを作ることもできます。

これが長時間続くと、腰や股関節など別の部位に負担がかかる可能性があります。

③分回し歩行

患側の足を真っ直ぐ前に出すのではなく、外側に大きく弧を描くように振り出す歩き方です。

これもつま先を床に引っ掛けないための代償です。

 

下垂足の評価で大切なのは、どこが原因なのか。

下垂足を見た時に、足首が上がらないだけで終わってはいけません。

どの筋肉が硬いのか、どの神経が関係しているのか、神経のどの部分に問題があるのか

という視点で評価・介入(リハビリ)を行う必要性があります。

筋肉が弱いだけではない?下垂足と筋肉の硬さ

下垂足のリハビリで非常に重要なのが、背屈筋の弱さだけを見るのではなく、足首を下げる側の筋肉もみるということです。

例えば

  • 腓腹筋
  • ヒラメ筋
  • 後脛骨筋

などの緊張が高かったり、筋・腱の柔軟性が低下してたりすると、足首を上げようとしても物理的に動かすことができなくなります。

特に脳卒中では、背屈筋の筋力低下+底屈筋の痙縮が組み合わさっていることがあります。

この場合、前脛骨筋を鍛えればいいという単純な話ではありません。

足首を上げる筋肉を働かせることと、足首を上げるための可動域を確保すること。この両方が大切です。

下垂足のリハビリでは何をする?

下垂足のリハビリは、原因によって大きく異なります。

神経は少しずつ再生していきますが、損傷した場所から筋肉まで神経が届くまでに数カ月かかることがあります。そのため麻痺の改善には時間がかかります。ただし、数カ月待てば必ず動くようになるというわけではなく、神経損傷の程度や、再生した神経が筋肉をどれだけ再支配できるかで予後は大きく変わります。そこで大切になるのがリハビリです。リハビリをしないと、神経が再生されてもうまく動きとして利用できなかったり、間違えて学習してしまうと、動きが変になったりする可能性が出てきます。

今回は、特に脳卒中による下垂足を例に紹介します。

①装具により転倒予防

まず大切なのが、安全に歩ける環境を作る事です。

下垂足では、つま先が引っ掛かりやすく転倒リスクが高くなるため、必要に応じて短下肢装具などを検討します。

装具によって

  • 足先の引っ掛かりを軽減する
  • 足関節を安定させる
  • 歩行を安全にする

ことが期待できます。

装具をつける=筋肉を使わなくなる

と考える方もいますが、必ずしもそうではありません。

むしろ、安全に歩ける状態を作り、歩行練習の量と質を確保するという意味で、装具は非常に重要な選択肢になります。

ただし、装具も自身に合ったものを着用し、変形やその他劣化がないよう管理することが大切です。

②課題指向型訓練

脳卒中後の下垂足では、単純な筋力トレーニングだけではなく、実際の歩行に繋がる練習が重要です。

例えば、

  • 足を前に振り出す練習
  • つま先を上げる練習
  • 立位での荷重練習
  • 歩行練習
  • 段差昇降
  • 障害物をまたぐ練習

などです。

“足首を動かす”ことがゴールではなく、“足首を動かして安全に生活する”ところまでつなげる必要があります。

③電気刺激療法・FES

筋肉を自分の意思だけで十分に動かせない場合、電気刺激を利用して筋収縮を促す方法があります。

特に歩行中のタイミングに合わせて電気刺激を行うFES(機能的電気刺激)では、足を振り出す際の背屈を補助することができます。

これにより、“正しい動きを実際の歩行中の中で繰り返す”ことが可能になります。

ただし、神経損傷の種類や程度によって電気刺激の適応は異なるため、誰にでも同じように行えるわけではありません。

④筋肉の柔軟性・関節可動域へのアプローチ

背屈筋を鍛えるだけでなく、足関節が十分に動く状態を作ることも大切です。

特に

  • 腓腹筋
  • ヒラメ筋
  • 足部周囲の軟部組織

などの状態を確認します。

筋肉の緊張や短縮が強い場合には、緊張を落としたり、ストレッチにより柔軟性を高めた上で介入を行います。

⑤バランス機能、その他関節へのアプローチ

下垂足になると、身体は躓きを避けるために様々な代償動作を使います。

そのため、足首を治療すれば歩行が良くなるとは限りません。

  • 体幹
  • 骨盤
  • 股関節
  • 膝関節
  • 足関節

を含めて全身の動きを調節することが大切です。

再生医療との関連性

再生医療という言葉を聞くと、“神経が再生して、自然に足が動くようになるのでは?”と思われる方もいらっしゅるかもしれません。

しかし、再生医療だけで下垂足が自動的に改善するわけではありません。

再生医療とリハビリはそれぞれ役割が異なります。

イメージすると、

再生医療=身体の回復を支える可能性のある治療

リハビリ=回復した機能を“実際に使える動き”へ繋げる訓練

です。

ここで大切なことは、“動けるようになる”と“歩けるようになる”は違うということです。

例えば、治療後に足首の筋肉が少し動くようになったとします。それだけで、明日から歩けるようになるとは限りません。

歩行には

筋力・関節の動き・感覚・バランス・タイミング・協調性など

非常に多くの要素が必要となります。

だからこそ、機能の変化を実際の動作に繋げるために、リハビリが重要となります。

まとめ

下垂足は単なる“足首の筋力低下”ではありません。

脳卒中、腓骨神経麻痺、腰の神経障害など、原因によって治療やリハビリ内容は大きく異なります。

そして、再生医療を検討されている方にとっても、再生医療を受けることがゴールではありません。

大切なのは、その後の身体の変化を丁寧に評価し、“少し動くようになった”から“実際に歩ける”へ繋げていくことです。

当院では、再生医療だけでなく、理学療法士によるリハビリテーションを組み合わせ、患者様一人一人の身体機能や生活状況に合わせたアプローチを行っています。

少しでも気になる症状がある方は、病院を受診し原因を探りましょう。

リハビリでは、足首だけを見るのではなく、その人がもう一度安全に歩くためには何が必要かを考え、訓練することが大切です。

 

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