高次脳機能障害の症状・4つの症状と気づき方・検査・治療をわかりやすく解説
高次脳機能障害の症状とは?4つの代表症状・気づき方・検査・リハビリを解説
ご家族やご自身の脳梗塞や脳出血、頭部外傷のあと、「物忘れが増えた」「集中できない」「以前より怒りっぽくなった」と感じることがあるかもしれません。こうした変化には、高次脳機能障害が関係している場合があります。
高次脳機能障害の症状は外見から分かりにくく、本人自身が変化に気づきにくいこともあります。
この記事では、代表的な症状から気づき方、検査・診断、リハビリ、家族の接し方までわかりやすく解説します。似た症状には別の病気や体調の変化が関係することもあるため、気になる場合は自己判断せず医師に相談することが大切です。
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この記事を読んで分かること
- ☑ 高次脳機能障害でみられる代表的な症状
- ☑ 日常生活の中で気づくためのポイント
- ☑ 認知症との違いや検査・診断の考え方
- ☑ 症状に合わせたリハビリと家族の接し方
- ☑ 再生医療を検討するときに確認したいこと
高次脳機能障害の症状とは?
高次脳機能障害の代表的な症状として、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害が挙げられます。
行政的な診断基準では、これらの認知障害によって日常生活や社会生活に制約が生じていることなどが診断の判断材料になります。
一方、医学・学術上の「高次脳機能障害」はより広い概念で、失語、失行、失認なども含まれます。
つまり、「4つの症状が高次脳機能障害のすべて」というわけではありません。現れる症状や組み合わせには個人差があり、生活のどの場面で困難が生じているかを見ることが大切です。
| 症状 | 生活でみられる変化の例 |
|---|---|
| 1)記憶障害 | 新しいことを覚えにくい、同じ質問を繰り返す、予定を忘れる |
| 2)注意障害 | 集中が続かない、ミスが増える、複数のことを同時にすると混乱する |
| 3)遂行機能障害 | 計画を立てにくい、優先順位を決められない、段取りよく行動できない |
| 4)社会的行動障害 | 感情を調整しにくい、こだわりが強くなる、意欲が低下するなど |
ただし、高次脳機能障害はこの4つの症状だけを指すわけではありません。
学術的には、脳損傷によって生じる認知機能の障害を広く高次脳機能障害と呼び、失語、失行、失認なども含まれます。
また、症状は一つだけが現れるとは限りません。複数の障害が複合的に重なり合い、日常生活や仕事、人間関係の中でさまざまな困りごとにつながる恐れがあります。
1.記憶障害|新しいことを覚えにくい
高次脳機能障害でみられる記憶障害では、過去のことを思い出しにくくなるだけでなく、新しく経験したことや聞いたことを覚えておくことが難しくなる場合があります。
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本人にとっては、「同じことを何度も聞いている」という認識がない場合もあります。
家族からすると「さっき説明したばかりなのに」と感じるかもしれません。しかし、新しい情報を記憶として残すことが難しくなっている場合、本人にとっては初めて尋ねている感覚の可能性があります。
そのため、何度も覚えるよう求めるだけではなく、「記憶だけに頼らなくても生活できる仕組みをつくる」ことが役立ちます。
たとえば、予定を一か所にまとめて表示する、薬を飲む時間はアラームで知らせる、よく使う物の置き場所を一手に決めておく、などといった方法です。
一方、物忘れがあるからといって、すべて高次脳機能障害とは限りません。
加齢による物忘れや、認知症、睡眠不足、薬剤、うつ症状などが影響していることもあります。脳梗塞や頭部外傷などのあとから物忘れが目立ち、服薬管理や金銭管理、仕事などに支障が出ている場合は、医師に相談して原因を確認しましょう。
2.注意障害|集中や同時作業が難しい
注意障害では、一つのことに集中し続けたり、必要な情報に注意を向けたり、複数の情報を同時に処理したりすることが難しくなる場合があります。
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脳が情報を上手く処理できないことから、テレビを見ながら家族と会話すると話についていけない、仕事で以前にはなかったミスが増えるといった変化が現れます。
この場合に、周囲からは「集中力がなくなった」「やる気がない」と誤解を受ける(見える)かもしれません。しかし、本人の努力不足ではない可能性があるのです。
そんな場合、本人に対して「もっと集中して」と求めるだけではなく、集中しやすい環境をつくることも大切です。たとえば、テレビを消してから話す、一度に複数の指示を出さず一つずつ伝える、作業時間を短く区切って、適宜休憩を取るといった方法です。
ただし、集中力の低下は、疲労や睡眠不足、精神的なストレスなどでも生じます。
症状だけで高次脳機能障害と決めつけないことも大切です。
3.遂行機能障害|段取りが難しくなる
遂行機能障害とは、目的に向かって計画を立てたり、順序よく行動したり、必要に応じてやり方を変更することが難しくなる状態です。
「何をするか」は自分で分かっていても、「どこから始めればよいか」「次は何をすればよいか」を整理できないために、動けない、行動につながらないことがあります。
たとえば料理では、献立を決め、食材を準備し、順番に調理する必要があります。この場合、一つひとつの動作は理解できても、それらを組み合わせて進めるとなると、急にできなくなる状態です。
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周囲には「要領が悪くなった」「自分で考えなくなった」と見えてしまうかもしれませんが、性格や能力だけの問題とは限らないのです。
作業を小さな手順に分け、チェックリストやスマートフォンで次にすることを順を追って確認できるようにすることで、行動しやすくなる場合があります。
4.社会的行動障害|感情や行動が変わる
社会的行動障害では、感情や欲求を調整したり、周囲の状況に合わせて行動したりすることが難しくなる場合があります。
家族にとっては、
「以前は穏やかだったのに怒りっぽくなった」
「何事にも関心を示さなくなった」
「こだわりが強くなった」
など、「性格が変わった」ように感じられることがあります。
| みられる変化 | 生活での例 |
|---|---|
| 感情を調整しにくい | 些細なことで怒る、感情が高ぶりやすくなる |
| 欲求を抑えにくい | 買い物や食事などを自分で調整しにくくなる |
| こだわりが強くなる | 一つのことから気持ちを切り替えにくい |
| 意欲が低下する | 自分から行動を始めない、周囲への関心が薄れる |
| 対人関係が難しくなる | 相手や場面に合わせた言動が難しくなる |
ただし、すべての方に同じ変化が現れるわけではありません。
怒りっぽさや無気力には、脳卒中後のうつ症状、不安、アパシー、睡眠不足、疲労、痛みなどが関係する場合もあるからです。
「性格の問題」と決めつけるのではなく状況を確認しましょう。たとえば、いつ起こりやすいか、疲れていると強くならないか、生活にどの程度影響しているかなど見極めましょう。
代表的な4つの症状以外にもみられる症状とは
高次脳機能障害には、記憶・注意・遂行機能・社会的行動の4つ以外にもさまざまな症状があります。
学術的には、失語、失行、失認なども高次脳機能障害に含まれます。また、半側空間無視や自分の障害を認識しにくい状態などがみられることもあります。
| 症状 | どのような状態? |
|---|---|
| 失語 | 言葉を話す、理解する、読む、書くことが難しくなる |
| 失行 | 体を動かす力があっても、目的に合った動作をうまく行えない |
| 失認 | 見たり聞いたりしたものを適切に認識しにくくなる |
| 半側空間無視 | 左右どちらか一方の空間に注意を向けにくくなる |
| 病識の低下 | 自分の障害や困りごとを十分に認識できないことがある |
高次脳機能障害は、症状のチェックだけで診断するものではなく、どのような病気やけががあったか、どのように認知機能の変化が生じているか、それによって生活にどのような支障が出ているかを含めて判断することになります。
高次脳機能障害に気づくポイント
高次脳機能障害は、「外見から分かりにくいことが特徴の一つ」です。
普通に歩ける、会話もできる。一見すると以前と大きく変わらなくても、日常生活に戻ることで問題が見えてくることがあります。
気づくためのポイントは、病気やけがの前と比べて、生活の中で何が変わったかを見ることです。
たとえば、次のような変化です。
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病院では決められたスケジュールに沿って生活できていても、自宅では服薬、買い物、食事、予定管理など、自分で判断しなければならない場面が増えます。
復職すれば、複数の仕事を同時に進めたり、予定変更に対応したりする必要もあるでしょう。
このため、退院後や復職後に、それまで目立たなかった症状が生活上の問題として明らかになることがあります。
なお、物忘れや集中力の低下などには別の原因も考えられます。症状の有無だけで判断するのではなく、生活への影響を含めて専門家に相談しましょう。
本人が症状に気づかないことがある
高次脳機能障害では、本人が自分自身の変化を十分に認識できない場合があります。
- 家族には明らかな変化が見えていても、本人は、
- 「何も困っていない」
- 「前と変わっていない」と感じていることがあるのです。
これは、単に症状を認めたくないからとは限りません。脳の損傷によって、自分の能力や障害を客観的に捉える働きが影響を受けている可能性があります。
たとえば、次のような場合です
- ・ 忘れていること自体に気づいていない
- ・ミスが増えていても問題ないと思っている
- ・ 家族に手伝ってもらっていることを認識しにくい
- ・ 自分の感情の変化に気づきにくい
すべての方にこのような状態がみられるわけではありません。本人自身が変化に気づき、不安や戸惑いを感じているケースもあります。本人と家族の認識が違う場合は、無理に「障害がある」と納得させようとするより、
- 「薬を2回飲もうとした」
- 「今週は予定を3回忘れた」
など、具体的な出来事を記録して医師や専門職へ伝えることが役立ちます。
脳の損傷部位で症状は異なる
高次脳機能障害の症状は、脳のどの場所が、どの程度影響を受けたかによって異なります。
ただし、脳の働きは一つの部位だけで完結しているわけではありません。複数の領域が神経回路でつながり、ネットワークとして働いています。
そのため、「前頭葉を損傷したら必ず遂行機能障害になる」といったように、損傷部位と症状を一対一で判断することはできません。
MRIやCTなどの画像は症状を理解する手がかりになりますが、実際の評価では、画像所見だけでなく、認知機能や行動、日常生活でどのような困りごとが生じているかを合わせて確認します。
| 脳の部位 | 主に関係する働き | みられることがある症状(例) |
|---|---|---|
| 前頭葉 | 計画、判断、注意、感情・行動の調整 | 遂行機能障害、注意障害、行動・感情の変化など |
| 側頭葉 | 記憶、言語など | 記憶障害、言語に関する障害など |
| 頭頂葉 | 注意、空間認識、感覚情報の統合など | 半側空間無視、失行、失認など |
| 後頭葉 | 視覚情報の処理など | 視覚認知に関する障害など |
※表の症状はよく起こる例を記しているもので、この部位ならこの症状と断定しているものではありません。
脳は複数の領域が神経回路でつながり、ネットワークとして働いています。損傷の大きさや左右、関連する神経回路などによっても症状は変わります。
画像だけから自己判断せず、認知機能の評価や日常生活での困りごとと合わせて考えることが必要になります。
認知症などとの違いは?
高次脳機能障害と認知症は、物忘れや判断力の低下など、似た症状がみられることがあります。
大きな違いの一つは、症状が生じる背景です。
高次脳機能障害は、脳梗塞や脳出血、頭部外傷など、脳に損傷を受けたことを背景として生じる後天的な認知機能の障害です。
一方、認知症はアルツハイマー病をはじめとするさまざまな病気によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたした状態を指します。
| 比較する点 | 高次脳機能障害 | 認知症 |
|---|---|---|
| 主な背景 | 脳卒中、頭部外傷などによる脳損傷 | アルツハイマー病など、さまざまな原因疾患 |
| 主な問題 | 記憶、注意、段取り、行動・感情など | 記憶、判断、理解など複数の認知機能 |
| 経過 | 原因となった脳損傷や状態により異なる | 原因疾患によって異なり、進行するものもある |
ただし、両者をこの表だけで明確に区別できるわけではありません。
脳血管障害を背景とする認知症もあります。また、物忘れや集中力の低下、意欲低下などは、うつ症状や睡眠障害、薬剤の影響などでもみられます。
「高齢だから認知症」「脳梗塞のあとだから高次脳機能障害」と決めつけず、医療機関で評価を受けましょう。
高次脳機能障害の検査と診断
高次脳機能障害との判断は、一つの症状や簡単なテストだけで診断できるものではありません。
診断においては、脳梗塞や脳出血、頭部外傷など、脳に損傷を与える病気やけがの有無を確認します。
さらに、
- ・どのような認知機能の変化があるか
- ・日常生活や社会生活にどの程度影響しているか
- ・脳の病変が確認されているか
- ・発症・受傷以前から同様の症状がなかったか
これらを総合的に評価して判断することになります。
国の診断基準でも、脳の器質的病変の原因となる病気や外傷が確認されていること、認知障害が日常生活や社会生活の制約につながっていることなどが判断材料とされます。「実際の生活で何に困っているか」が最も大切な情報となります。
どのような検査を行う?
高次脳機能障害が疑われる場合には、画像検査だけでなく、認知機能の検査や日常生活の評価などを組み合わせることがあります。
| 検査・評価 | 主に確認すること |
|---|---|
| 問診・生活状況の確認 | 発症前後の変化、仕事・家事・対人関係などへの影響 |
| MRI・CTなど | 脳梗塞、脳出血、外傷などによる脳の病変 |
| 神経心理学的検査 | 記憶、注意、遂行機能、言語などの認知機能 |
| 行動・生活動作の評価 | 実生活で何に困っているか |
神経心理学的検査では、質問への回答や課題への取り組み方などから、記憶、注意、言語、遂行機能といった認知機能を詳しく評価します。
症状に応じて複数の検査を使い分けます。
なお、画像検査で脳の病変が明確に確認できないからといって、高次脳機能障害が必ず否定されるわけではありません。
国の診断基準では、脳の病気や外傷の経過など一定の条件を満たしながら画像で病変を明らかにできない場合でも、慎重な評価によって高次脳機能障害と診断されることがあるとされています。
このため、画像検査だけで結論を出さず、発症・受傷の経過、神経心理学的検査、生活上の変化などを総合して医師が判断することが大切です。
そのため、インターネット上の「セルフチェック」や簡易テストだけで診断することもできません。画像検査、認知機能の評価、発症からの経過、本人や家族から得られる生活情報などを合わせて医師が判断することになります。
何科に相談すればよい?
脳梗塞や脳出血、頭部外傷などの治療を受けている場合は、まず現在の主治医に相談することが一つの入口です。
また、高次脳機能障害の診療やリハビリには、脳神経内科、脳神経外科、リハビリテーション科などが関わります。
強い気分の落ち込みや不安、行動・感情面の問題などについて、精神科などと連携する場合もあります。
また、お住まいの地域に「高次脳機能障害支援拠点機関」が設けられていれば医療だけでなく、生活や家族、就労、福祉サービスについて相談できる場合があります。役所にて機関の有無をお確かめください。
尚、受診する時には、病名を決めて伝える必要はありません。
- 「脳梗塞のあとから同じ質問が増えた」
- 「仕事に戻ってからミスが増えた」
- 「以前より感情の変化が目立つ」
といったように、「発症前と比べて何が変わったのかを具体的に伝える」と状態を把握しやすくなります。
なお、これまで安定していた方に、突然「言葉が出ない」「顔の片側がゆがむ」「片側の手足に力が入らない」「意識の状態がおかしい」といった新しい症状が現れた場合は、高次脳機能障害の変化と自己判断しないでください。
脳卒中など緊急性の高い病気の可能性があります。こうした症状が突然現れた場合は、119番通報を含め、速やかな救急受診が必要です。
治療・リハビリと生活支援
高次脳機能障害への対応では、一つの薬や治療ですべての症状を解決するという考え方ではなく、症状や生活上の困りごとに合わせて、リハビリテーション、環境調整、生活・社会支援などを組み合わせていくことで症状の軽減を目指します。
ある人は物忘れが中心で、別の人は注意力の低下や仕事の段取りに困っているかもしれません。感情や行動の変化が家族生活に大きく影響する場合もあります。
まず「どの機能が低下しているか」だけでなく、「生活のどこで困っているか」を確認します。
そのうえで、以下を検討することになります。
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高次脳機能障害のリハビリは、低下した機能を訓練するだけではありません。
現在の機能を生かしながら、困りごとが起こりにくい仕組みをつくることが大切になります。
症状に合わせたリハビリ
リハビリテーションの内容は、症状や生活環境によって変わります。
| 症状 | リハビリ・生活上の工夫の例 |
|---|---|
| 記憶障害 | メモ、カレンダー、予定表、スマートフォンのアラームなどを活用する |
| 注意障害 | 静かな環境を整える、作業を一つずつ行う、適度に休憩する |
| 遂行機能障害 | 作業を小さな手順に分け、チェックリストや手順書を使う |
| 社会的行動障害 | 感情が高ぶる状況を把握し、刺激や生活環境を調整する |
記憶障害であれば、「すべて覚える」ことだけを目指すのではなく、忘れても困りにくい仕組みをつくることが有効になります。
注意障害では、テレビや周囲の音を減らし、一つの作業に集中しやすい環境を整える方法があります。
遂行機能障害では、「朝の準備」のような大きな作業を「着替える」「朝食を食べる」「薬を飲む」「持ち物を確認する」と細かく分け、目で確認できるようチェックする仕組みや方法が考えられます。
社会的行動障害では、本人に我慢を求めるだけではなく、疲労、騒音、急な予定変更など、感情が高ぶるきっかけを探し、環境を調整することもあります。
また、必要に応じて薬物療法が検討される場合がありますが、症状や持病、使用している薬などによって判断は異なります。この場合、自己判断で薬を開始・中止しないようにしてください。
リハビリは個人差がありますが訓練や補助手段、生活環境の調整によって、日常生活の困りごとを減らせることを目標にしていきます。
家族ができる接し方
高次脳機能障害では、家族が本人の変化に戸惑うことも少なくありません。
家族が意識したいのは、「できないことを責める」のではなく、「どうすればできるか」を一緒に考えてあげることです。
たとえば、同じ質問を何度もされても、本人には以前の説明を覚えていない可能性があり、そこは理解が必要です。
指示されたことを実行できない場合も、「やる気がない」のではなく、注意障害や遂行機能障害によって手順を整理できていない可能性があります。
| 困っている場面 | 接し方の例 | 声かけ例 |
|---|---|---|
| 同じ質問を繰り返す | 予定表やメモを用意する | 「予定はここに書いてあるよ。一緒に見てみようか」 |
| 指示が伝わりにくい | 一度に一つずつ、短く伝える | 「まず上着を着よう。できたら次を確認しよう」 |
| 集中できない | 周囲の刺激を減らす | 「少し静かなところで、一つずつ確認しようか」 |
| 段取りが分からない | 作業を小さな手順に分ける | 「最初はこれだけやってみよう」 |
| 怒りやすい | 安全を確保し、落ち着く時間をつくる | 「今は少し休んで、落ち着いてから話そう」 |
「ちゃんとして」「もっと考えて」「何度言ったら分かるの?」このような言葉は、本人にとって何をすればよいのか逆に混乱をあたえてしまう場合があります。
「ここに財布を置こう」「次は薬を確認しよう」というように、短く具体的に伝えるほうが理解しやすいでしょう。
注意したいのは、家族が何でも代わってしまうことが適切ではないということです。できる部分は本人に任せ、どこに手助けが必要なのかを専門職と相談しながら調整することが大切です。
そして、家族自身の負担にも目を向けなけらばなりません。
毎日、このような対応が続けば、家族にも疲労やストレスが蓄積して当然です。「家族だから」「自分たちだけで支えなければ」と抱え込む必要などありません。
主治医やリハビリテーションの専門職、高次脳機能障害の支援拠点機関、福祉サービスなどを利用し、本人だけでなく家族も支援を受けることを考えるべきです。
再生医療という選択肢
高次脳機能障害について、「リハビリ以外に選択肢はないのだろうか」と考えてしまうのも理解できます。
実は、脳梗塞や脳出血などの後遺症に対して、幹細胞などを用いた「再生医療」が実際に行われています。
高次脳機能障害でみられる記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などに対して、再生医療の有効性は、実際に経験豊富な再生医療クリニックにご相談ください。当院でもお問合せを受けてけております。
日本では、再生医療等安全性確保法という、再生医療についての法規が定められていて、リスクに応じて第一種・第二種・第三種に分類し、治療にはそれぞれ必要な手続きが定められています。
なお、幹細胞を用いた治療、PRP療法、エクソソームを用いる施術などは、どれも同じものではありません。使用するものや目的、医学的根拠、制度上の扱いを個別に確認する必要があります。
再生医療という名称、幹細胞治療という名前は同じでも、実際は内容が大きく異なります。そのクリニックでできること、特長、コダワリ、医学的根拠、リスク、費用、治療の限界まで説明を受けたうえで検討することが大切です。
当月は、セミナーも開催しておりますのでこの機会をご利用されることをお勧めいたします。

よくある質問Q&AQ1. 高次脳機能障害の代表的な症状は何ですか?代表的には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害が挙げられます。ただし、高次脳機能障害には失語、失行、失認なども含まれ、症状が複数重なることもあります。 Q2. 高次脳機能障害は本人に自覚がありますか?本人が変化に気づいている場合もあれば、自分の障害を十分に認識できない場合もあります。家族と本人の認識が異なることもあるため、生活上で起きている具体的な出来事を医師へ伝えることが役立ちます。 Q3. 高次脳機能障害と認知症はどう違いますか?高次脳機能障害は、脳卒中や頭部外傷などによる脳損傷を背景として生じる認知機能の障害です。認知症はアルツハイマー病などさまざまな原因疾患によって認知機能が低下した状態を指します。ただし、症状が重なることもあり、自己判断で区別することはできません。 Q4. セルフチェックだけで高次脳機能障害と診断できますか?できません。診断では病気や外傷の経過、日常生活・社会生活への影響、MRIやCTなどの検査、必要に応じた神経心理学的検査などを総合的に確認します。気になる変化があれば医療機関に相談してください。 Q5.高次脳機能障害は治る・回復することがありますか??回復の程度や経過には個人差があり、元の状態に完全に戻るかを一律にはいえません。一方、自然経過、リハビリ、代償手段、環境調整などにより生活上の困難が軽減することがあります。 |
まとめ・高次脳機能障害 症状
高次脳機能障害では、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害をはじめ、失語、失行、失認など、さまざまな症状がみられます。外見から分かりにくく、本人が自分の変化を十分に認識できないこともあるため、「病気やけがの前と比べて生活の中で何が変わったか」を確認することが大切です。
診断はセルフチェックだけで行うものではなく、発症・受傷の経過、画像検査、神経心理学的検査、日常生活への影響などをもとに医師が総合的に判断します。リハビリテーションでは、機能への訓練だけでなく、メモや予定表などの補助手段、環境調整、家族・就労支援なども含めて考えましょう。
再生医療は、リハビリ以外のあたらな選択肢です。適応などはお気軽にご相談ください。
