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【再生医療】肝障害の症状改善に幹細胞治療が有効な理由とは?
肝臓は、人間が生きる上で欠かせない重要な臓器です。
肝臓には様々な機能があり、肝臓が元気であるということは、全身の臓器にとっても非常に大切なことです。ですが、様々な原因で傷つきやすく、肝臓が機能しなくなると命の危険性が伴います。
その肝臓の機能を回復させる治療に、再生医療があります。
再生医療の1つである幹細胞治療は、肝疾患に対して以前から研究が進められています。今までの治療とは異なり、ダメージを受けて破壊されてしまった肝臓そのものを修復することを目的としています。
この記事では、幹細胞治療と肝疾患についてお話しします。この記事を読むことで、肝疾患の治療に幹細胞治療が有効な理由がわかります。
さらに、肝臓の病気にお困りのご家族や知人の方に再生医療を提案することでその方を助けることができるかもしれません。
肝臓の働き 肝臓の機能が低下するとどのような支障が身体に現れるか
肝臓は生命活動に重要や役割を果たす臓器です。その働きは大きく分けて4つあります。
・有害物質の解毒と分解:
体内にある有毒な物質(アルコール, アンモニア, 薬)を無毒にします。
・栄養素を貯えエネルギーに変換する:
多くの食べ物はそのままでは体内に吸収できないため、肝臓で栄養素として吸収できるように変換
します。また、脳を含め全身に必要な栄養素(ブドウ糖)を貯蔵します。
・胆汁を合成し分泌する:
脂質などを分解する胆汁を作って血中のコレステロールの量を調整し、脂質の消化吸収を助けます。
・免疫細胞の活躍の場
ウイルスに感染した細胞をNK細胞が処理したり、クッパ―細胞が外敵を食べてくれます。
肝疾患の原因は、肥満やアルコール、ウイルスなど様々ありますが、肝臓の機能が低下すると、次のような支障がでます。
・有毒物質の無毒化ができない:
脳をはじめ、有害物質が体内に溜まって全身にダメージが及びます。
薬を代謝できません。
アルコールがいつまでたっても抜けず、悪酔いをしたり重い二日酔いが続きます。
・栄養素が身体に吸収されにくくなる:
エネルギーを作れず、疲れが取れなくなったり、体を動かすことがつらくなります。
・胆汁が作られなくなる:
脂質の代謝が悪くなります。
肝臓は生命活動を維持するためにその仕事量も多いので、一旦機能が低下してしまうとこのような様々な全身の症状につながります。
実際には肝臓に障害が起こってもなかなか症状として現れません。つまり、症状を自覚する頃には肝臓のダメージはとても大きくなっています。肝臓には再生能力があると言えど、この段階まで至ると元の状態に戻ることが難しい場合も少なくありません。
また、肝臓の病気が長期間に及んだり、ダメージの程度が重いと線維化が肝臓全体に及び肝硬変という重篤な状態になります。肝硬変になると肝癌に発展するリスクも高くなります。
再生医療<幹細胞治療>が肝疾患治療に有効な理由
再生医療は、ダメージを受けて破壊された肝細胞そのものの修復を目的としています。
従来の治療法では、薬物治療や生活習慣改善によってウイルスの排除や脂肪の減少などはできても、それらからダメージを受けた肝細胞や線維化してしまった肝臓は修復されないことが多いです。一度線維化した肝臓は元の状態には戻れません。
つまり、いかに肝臓を線維化から守るかということが重要視されていました。
一方、幹細胞治療は傷ついた肝細胞そのものを修復し、線維化してしまった肝臓の機能を改善することを目的としています。軽症のうちに幹細胞治療を受けることがオススメですが、肝硬変の状態で残る根治的な治療法が肝移植のみとなった患者様にも有用な治療法です。
幹細胞治療はご自身の幹細胞を材料として治療を行うので、薬物治療のときに問題となるような副作用の心配はありません。また、投与は点滴で行いますので、肝移植のような大掛かりな手術は必要なく、日帰りでの治療が可能です。
今までの治療と再生医療の比較
今までの治療は、肝炎ウイルスによる肝疾患を例にとると、ウイルスを排除する作用のある薬を用いて治療を行っていました。
また、自己免疫性肝炎では、原因となるご自身の免疫を抑えるためにステロイドを投与していました。原因は排除できても、残った肝臓のケアや機能改善を積極的に行うことは難しかったです。
ですが、幹細胞治療では肝臓の炎症や線維化してしまった部分を投与した幹細胞が発見し、肝臓の機能が再び正常に機能する可能性を見出すことが出来ます。
この幹細胞治療で、知らず知らずのうちに悪化していく肝臓の状態を改善することが期待されますし、将来肝癌になるかもしれないという心配が和らいだり、運動や食事といった生活習慣の厳しい制限を過度に気にしなくてよくなるかもしれません。
ご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
医療法人香華会 朱セルクリニック福岡院
理事長 坂口 尚