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脳血管疾患に対する再生医療について
一般に、脳血管障害には大きく2つの疾患が含まれます。
一つは、脳動脈瘤などが破裂することで発症する“脳出血”。脳出血により脳細胞が圧排されダメージを負うことで発症します。もう一つは、脳の血管が詰まってしまい脳の血流が途絶え、脳細胞がダメになってしまう脳梗塞です。脳血管が詰まる原因としては、血の塊である血栓が飛んできて詰まる塞栓症、動脈硬化などによって血管が狭くなり最終的に詰まってしまう血栓症、あるいはそれらがミックスして起こることもあります。
脳血管疾患に対しての脂肪由来幹細胞投与による再生医療の効果については、はっきりとしたエビデンスは残念ながら今のところありません。
動物実験では幹細胞投与により、脳梗塞の範囲が縮小したという報告があります。また、日本国内の一部の大学病院では、脂肪由来幹細胞と同じ間葉系幹細胞である骨髄由来幹細胞を用いた脳梗塞の治療が進められています。
幹細胞投与による脳血管障害改善のメカニズムとしては、障害された神経細胞が新しい細胞に置き換わる効果、また、幹細胞から出される種々の因子による障害された組織の修復効果が考えられています。
投与された幹細胞が障害された神経細胞に置き換わるというより、それらの幹細胞から出される種々の因子が障害された組織の血流を改善したり、元々神経になる神経幹細胞を刺激したりすることで、改善するのではないかと考えられています。
当院では、脳血管障害の患者様に対し脂肪由来幹細胞の全身投与を行なっています。傷ついた脳細胞の回復に加え、脳卒中後の手足の痛みや痺れ、あるいは排尿、排便障害などを改善する効果が期待されます。また、幹細胞治療後にリハビリを導入した方が治療効果が高いと言われております。そのため、当院では専門のリハビリセンターを併設し、幹細胞投与を行なった患者様にはできるだけリハビリも行なっていただいています。専門のスタッフが対応し、患者様の状態をより改善するように取り組んでいます。