症例紹介

CASE

教員として教壇に立つ日を実現するために 脳卒中の後遺症と向き合う一人の先生

専門知識 2023/04/10

疾患名:脳血管疾患(脳卒中)
イニシャル:T・S様
年齢・性別:50歳 男性
症状:脳血管障害の後遺症
    左手足の運動麻痺、感覚障害、言語機能障害、複視、嚥下障害

<来院までの経緯>

約3年前に義父が他界され葬儀の準備に追われていると同時に、中学1年生の娘様が2日前から発熱があり自宅で寝込んでいた為葬儀場と自宅を行ったり来たりする数日が続いておりました。葬儀も終わり久しぶりにゆっくりできるなと気を落ち着かせながら娘様と2人で自宅にいた際、急に激しい頭痛とめまいが襲い、リビングの床に倒れてしまいました。その様子を見ていた中学1年生の娘様がすぐに救急車を呼び、病院へ搬送されることになりました。搬送先で検査を行った結果、脳幹に出血が認められ脳幹橋出血と診断。娘様の咄嗟の判断があり一命を取り留めたT・S様ですが、手術後は自発呼吸もできずご家族様が大変心配されておりました。数日で意識も回復され、ご本人の強い希望があり早く家族のために元の身体のように回復したいという一心で回復期リハビリテーション病棟へ転院しました。
長時間椅子に座っていられるようになり、また食べ物をこぼしながらも自分でスプーンを持ち食事ができるようになり病院を退院することになりました。退院後も自費のリハビリ施設を担当のケアマネジャーから紹介され、一刻も早く教員として復職できるようリハビリに取り組んでおりましたが、足の感覚障害が強く、なかなか自力で立ち上がることができません。1人でトイレに行き、手すりを使ってでも自分で立ち上がることができるようになれば働けるかもしれないと思い、ご家族様とインターネットで脳卒中の後遺症に対しての治療を検索している中で回復・改善を目的とした再生医療に辿り着き、もう一度一人で立ち上がることができる可能性を感じ、当院へカウンセリングを受けに来院されました。

<医師からのコメント>

脳幹部の橋出血による脳卒中の後遺症として、両上肢・下肢の麻痺があり、コップやペンを持とうと手を伸ばす時や操作する時に手が震えてしまう「振戦」といった症状があり、行為の遂行が難しい状態です。また左下肢に強い感覚障害があり、立ち上がりや歩行といった動作はできず、移動は介助用車いすにて後方から介助を要しておりました。言語障害・嚥下障害もあり、言葉を話す際も舌の動きに麻痺があり上手く言葉が出ず、飲食時も食べ物を上手に飲み込めなくなる「嚥下障害」がみられ、飲食物を吐き出したりすることもみられます。
T・S様のご希望としては、いち早く家族の介助負担をなくすこと、また教員として復職することでしたので、復職を最終目標に設定し、脳卒中の後遺症を改善するため自己治癒能力を最大限に高める脂肪由来幹細胞治療とリハビリを開始。

復職の為の具体的な悩みとしては、
・介助者なしでトイレまで行き、排泄行為をすることができない。
・ボールペンを使用した書字や電気工具の操作といった細かな手の動きができない。
この2つが挙げられました。

<リハビリ>

リハビリでは、どうすれば患者様のお悩みを解決できるか判断する為、運動能力及び動作能力の評価を行いました。その結果から目標に近づく為のリハビリ内容は、
①座った姿勢で両手を胸の高さに挙げ両手動作ができる
②両手で体を支えながら立ち上がることができる
③右手で物をつかみ移動させることが出来る
上記3つの課題を挙げ、①では目標である書字動作を遂行するイメージでタオルやトレイを用いて左右同じ力加減や動く方向を学習し、➁では前方介助にて両手でテーブルを押しながら身体のバランスを取る立ち上がりの訓練を行い、重心位置の学習を実施しました。➂では手の震えを最小限に抑えられる運動を習得するため、脳からの運動出力をコントロールする訓練や関節の動きを学習していきました。このようなリハビリ内容を、週5回で投与期間中の3ヶ月間実施しました。

<締め>

脳卒中の後遺症を改善するため幹細胞投与を3回、リハビリ期間が3ヵ月間経過し、現在では両手で車いすを運転し、右手でタイヤの強弱をコントロールしながら移動が可能となりました。また介助者が見守る中、1人で自動車の後部座席ドアの手すりを掴み立ち上がることが可能となりました。ご家族様の介助に対する負担が減り、やりたいと思った動きを自分の力でできるようになり大変喜んでおりました。まだまだ生活の中で立ち上がろうとして失敗し転倒する場面もあるため、現在も引き続きバランス力を鍛えていくリハビリに取り組んでおります。治療開始から3ヶ月、右手で手すりを掴み自力で立ち上がることが出来るようになった現在は、トイレ内にて右手で身体を支えながら左手でズボンの着脱ができるようになることを目標に、職場で周りの手を借りず排泄行為や移動ができるように復職に向け更なる能力向上を目的に追加治療をご検討いただいております。

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