症例紹介

CASE

脳血管障害後遺症に苦しんでいた患者様とそのご家族の食卓に笑顔が戻るまでの物語

専門知識 2023/04/24

疾患名:脳血管障害
イニシャル:I.T
性別・年齢:57歳 女性
症状:脳梗塞 くも膜下出血 脳血管障害の後遺症
:右手足の運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害
脂肪由来幹細胞治療:3回
リハビリ:週3回×3ヶ月

<来院までの経緯>

約13年前、いつも通りの朝を迎え、仕事の身支度の為、鏡を見ながらメイクをしている時、「あれ?少し頭が痛いな」と異変を感じた。頭痛は数分後には収まり、ほっとしたその瞬間、さらに激しい頭痛と共に体には力が入らなくなり、床に吸い込まれるように転倒。ドンッ!と大きな物音が聞こえ、近くにいたご主人が様子を見に行くと、横たわっているI.T様の姿がありました。ご主人様は何が起きたのかわからない状態でしたが、声をかけても起き上がらないどころか、何の反応もないため、すぐに救急車を呼ぶ。発見が早かった為、九死に一生を得ましたが、下された診断名は「脳梗塞 くも膜下出血」。命は助かったが、右手足の運動麻痺、感覚障害、言語障害という大きな脳血管障害の後遺症を抱える生活となってしまいました。

それから、健康状態が不安定だった為、急性期病院への入院、リハビリを目的とした回復期の病院への入院で約半年間の病院生活を経て、何とか自力でご自宅に帰り、自立した生活を送れるところまで回復されました。しかし、会話や日常生活は送れるようになったものの、右手足は動かず、感覚も戻らないまま。元々利き手が右手で、食事も左手で何とか全てスプーンを使いながらの生活にストレスを感じる。以前は楽しく食事をしていましたが、今では何とかこぼさないように左手でスプーンを使っての食事。笑顔で会話をする余裕もない状態でした。
何とかもう一度、以前のように利き手で食事を行い、家族で楽しく食事をする日々を送りたい、そのためには右手が動くようにならないと!という思いで脳血管障害後遺症に対する治療方法を検索していたところ、再生医療に辿り着き、リハビリも一緒に行える当院へご来院されました。

<医師からのコメント>

I.T様のご希望としては、以前のように右手を使って家族で楽しく食事をしたいということでした。その為、右手を使って食事ができるようになることを最終目標に設定しました。初診時、右手先で口元を触ることはできる状態でしたが、指が勝手に曲がってしまい、道具を持つことは不可能な状態でした。食事をするには、道具を持てるようになる必要があります。もう一度指先の運動コントロールができるようになるために、脳血管障害後遺症の改善を目的に自己治癒能力を最大限に高める脂肪由来幹細胞治療とリハビリを勧めております。

I.T様が右手で食事をしようとしたときの具体的なお悩みとしましては、
・道具を持った状態で口元まで手先を運ぶことができない
・手先を口元まで運ぶために、余計な力が入り、体が反ってしまう
この2つが挙げられました。

<リハビリ>

リハビリの方では、どうすれば右手で食事ができるようになるのかを分析するために、現在I.T様の運動機能・動作能力の評価を行いました。
評価を行った結果、
① 腕全体の力みではなく、肩や肘の筋肉を選択的に使えるようになる
② 体を反る力を利用せずに腕が挙げられるようになる
上記2つを目標に、①ではまずは、肩や肘の筋肉を選択的に使える環境で、力が入った感覚を身に付ける練習を実施しました。②は座った姿勢で、少し前かがみになり、麻痺していない側の手で体が前に倒れすぎないよう支えながら、麻痺側の腕を上げる練習を実施しました。

<経過>

幹細胞治療・投与3回終了、リハビリは約3ヶ月が経過。現在は右手で持つことはできませんが、スプーンを手に固定した状態で、右手での食事を行う事ができるようになりました。右手でのコントロールも不十分なため、食べ物をこぼさないように注意をしながらの食事ですが、右手で食事がとれるようになったことで、1日3食がリハビリであり、楽しみに変わりました。家族の皆様も、右手でもう一度食事ができるようになったI.T様を見て、微笑ましく、食卓を囲っております。
現在は、スプーンを手に固定している固定具を外した状態での食事を目標としリハビリを行っております。発症から長い時間が経過したI.T様ですが、まだまだ能力は向上しております。これからの改善にスタッフ一同尽力して参ります。

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