症例紹介
体調が悪い=病気のサイン 脳血管疾患の後遺症から再生医療に出会い復職に向けたリハビリを続ける 50代販売士
疾患名:脳血管疾患
イニシャル:T・O様
年齢・性別:50歳 女性
症状:脳血管障害の後遺症
右手足の運動麻痺、感覚障害、失語症
<来院までの経緯>
約5年前、いつも通り化粧品を販売する接客の仕事をしていたT・O様。朝から自分でも何となく倦怠感を感じていたが、同僚や常連のお客様からいつもより顔色が悪いのではと心配されていたそうです。少し疲れが出たのだろう、ゆっくり休めば治るだろうと思いながら、いつもの帰り道を歩いていたところ急に足に力が入らなくなり、歩道を歩いていたその場で意識を失い足から崩れて転倒。周りの救援があり救急車にて病院に搬送されました。搬送先で検査を行った結果、左脳に出血が認められ、左被殻出血と診断。脳血管障害の後遺症により右手右足の半身麻痺や顔面麻痺、言語障害が残ることになり、長年右利きで生活していたT・O様にとって、お財布の釣銭を出し入れすることが行えず、買い物袋に商品を入れることができないといった日常動作ができず、また表情筋に麻痺が残り接客でのサービス業への復職が困難となりました。搬送先の急性期病棟にて約1ヶ月入院し、血圧のコントロールができるようになりベッドからの起き上がりが可能となりました。またリハビリテーションによる社会復帰を目的とし回復期病棟に移り、約半年間ベッドからの立ち上がりや手すりを使って歩く練習を行い、装具や杖を使うことによって一人で歩くことが可能になり、ご自宅で生活できるまでに回復。退院後、自宅での生活は手すりがある廊下を歩いたり、着替えを一人で行ったりと生活する上では何とか自立できるようになる。しかし現在の状態では屋外を歩くことができず、また人前で物の受け渡しを行うことが出来ない為復職するにはほど遠い現状でした。今よりもっと改善させたいという気持ちから様々な治療を求めて受診するも、現在の状態を維持することを優先とされる治療法を勧められるばかり。復職への焦りがある中、ご家族の方が脳血管障害の後遺症についてインターネットで検索している時に、現状維持ではなく改善することを目的とした再生医療に辿り着き、当院へカウンセリングを受けに来院されました。
<医師からのコメント>
T・O様は左被殻出血による脳血管障害の後遺症として、右手右足の運動麻痺、感覚麻痺があり、立ち上がって歩く際は足に装具を付けて杖を使用しなければならず、右手は常に力が入っており、自由に動かすことができません。また高次機能障害もあり相手が話す言葉を理解することに時間がかかります。一見顔面部に麻痺は見られませんが、話したり笑ったりしていると右頬や口元が引き上げれず下に垂れている事もあります。
T・O様のご希望としては、半年以内に一人で外出できるようになり復職するということでしたので、復職を治療の最終目標に設定し、脳血管障害の後遺症を改善するため自己治癒能力を最大限に高める脂肪由来幹細胞治療とリハビリを勧めております。
T・O様の具体的な外出時のお悩みとしましては、
・屋外での活動では風に身体がもっていかれて真っ直ぐに歩くことができず転倒してしまう。
・電車やエスカレーターの乗り降りを行う際に麻痺側の足で踏ん張ることができない。
この2つが挙げられました。
<リハビリ>
リハビリでは、どうすれば患者様のお悩みを解決できるか判断する為に、T・O様の運動能力及び動作能力の評価を行いました。
T・O様のお悩みをどうすれば解決できるか評価を行った結果、
①立った状態で外部からのストレスに抵抗してバランスを維持できる
②重心を左右に移動させることができ自身の身体を支えることができる
③麻痺側の足で2秒以上身体を支えることができる
上記3つの目標を挙げ、①では体幹のトレーニングを行い外力によって上半身が倒れない身体の使い方を学習し、➁では身体の重心をコントロールする訓練を実施しました。➂では重心をコントロールした状態で身体を支えることが出来るように下肢筋力増強訓練を行いました。
このようなリハビリ内容を、週5回で投与期間中の3ヶ月間実施。
<締め>
幹細胞治療・投与を3回、リハビリ期間が3ヶ月間経過し、現在では杖を使用せず装具をつけた状態で屋外を一人で歩き、買い物や散歩に出かけることが可能となりました。転倒する危険性もなくなり、以前は杖を使用していたが現在では杖を使用することが無くなったため、雨の日は左手で傘をさしながら歩くことも可能となり、雨の日も外出することができるようになりました。また電車に一人で乗れるようになったことで外出する機会も増えて活動範囲が広がり、通勤場所の選択肢が増えたことをT・O様は大変喜んでおりました。現在はエスカレーターの乗り降りができるようリハビリに取り組んでおります。治療開始から3ヶ月、一人で外出できるようになった現在は、右手を使ってお店で販売している商品を紙袋に入れることや会計時のパソコン作業でマウスが使えるように復職に向け更なる能力向上を目的に幹細胞投与の追加治療をご検討いただいております。